中国メディアは何を報じているか

2013年10月18日

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佐々木智弘 (ささき・のりひろ)

防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授

1994年慶應義塾大学大学院前期博士課程修了。日本貿易振興機構アジア経済研究所東アジア研究グループ長を経て、2014年2月から現職。共著に『習近平政権の中国』(アジア経済研究所)、『現代中国政治外交の原点』(慶應義塾大学出版会)。

 2013年10月11~12日に第1回両岸平和フォーラムが開かれた。全国台湾研究会、台湾21世紀基金会など14の両岸の民間組織、学術機構の共同主催の会議で、テーマは「両岸の平和、共同発展」というものだった。中国と台湾のあいだの交流は形式的に民間によって行われており、テーマもこれまで経済、貿易関係に関するものだったが、今回初めて相互信頼、外交問題、平和構造といった政治、安全保障分野を取り上げたことで注目された。

 これに先立つ10月6日、習近平国家主席が台湾との政治対話に積極的な姿勢を示していたこともあり、このフォーラムへの注目はさらに高まった。

 会議の開幕式には、張志軍・党中央台湾工作弁公室主任兼国務院台湾事務弁公室主任が出席し、挨拶した。党と政府の台湾問題を主管する部門のトップである張の発言に注目したのだが、その発言からは交流促進というよりは、むしろ期待に水を差すのではと思われる発言の方に目がいった。

 中国側は、台湾との政治交流をどのように考えているのだろうか。

「一つの中国」に2度も言及した張志軍の発言

 10月12日付『人民日報』は、張の挨拶をどう伝えたのだろうか。6面に開幕式の様子を伝える記事が比較的大きく掲載された。張の主な発言は以下のとおりである。

「両岸関係発展過程で、政治争議はしばらく棚上げにするが、完全に長期的に回避することはできない。『経済だけで政治はない』というやり方は持続しない。両岸の経済、文化の交流、協力を促進すると同時に、両岸の矛盾対立の解決に努力し、両岸も政治関係に対し情にも理にもかなっている手はずを整えてこそ、たえず両岸の政治的相互信頼を増進し、両岸の民衆の重大な関心事を解決し、両岸関係の持続的平和的発展に対する自信を増強し、両岸の平和、共同発展のビジョンを実現することができる」

「大陸と台湾は一つの中国に属することを堅持することが、両岸関係の平和発展を確保する共同の政治的基礎であり、両岸の政治対立問題を話し合い解決する根本的立脚点である。両岸のあいだには多くの政治対立があるが、一つの中国の枠組みを動揺させ、損なうことはできない。両岸のあいだのあらゆる政治対立問題は、この枠組みで適切は解決方法を模索すべきである。これが緩めることのできない最低ラインである」

「民間の政治対話を展開することは、各界の積極的な思考を促進し両岸の政治対立問題を解決する実行可能なプロセスに有利であり、今後の両岸が関連問題を話し合い解決するために受け入れられる方案を模索することに有利であり、両岸の政治対話、話し合いをスタートさせるための融和な雰囲気を作り出すことに有利であり、参考にできる経験と方法を提供することができる」

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