科学で斬るスポーツ

2013年10月22日

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玉村 治 (たまむら・おさむ)

スポーツ科学ジャーナリスト、科学ジャーナリスト

小学校より野球をはじめ、大学では投手として活躍。スポーツを科学的に分析することを得意とし、バンクーバー、ロンドン五輪、ワールドカップサッカーなどで取材。

 日本シリーズを前に少し気が早いが、2013年は、東北楽天ゴールデン・イーグルスの田中将大投手(24)の年として記憶に残るのは間違いないだろう。開幕からクライマックスシリーズ(CS)の1勝を含め無傷の25連勝、昨年8月からの通算は29連勝と二度とは破られそうにない記録を更新し続けている。最優秀防御率(1.27)、最多勝利、勝率第一位の三冠王は文句なし、他の追随を許さない圧倒的な成績である。こうした記録は、楽天の初優勝も招き寄せ、東日本大震災から2年半経過した宮城を始め、東北に大きな感動と希望をもたらした。「神様、仏様、田中様」の異名をとるほどに成長した田中投手。どこに安定的な強さと負けない秘密があるのか。

図1 今年の田中投手の投球フォーム (フェアプレイ・データ提供)
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 上記の図1は、今年の田中投手の投球フォームを横から撮影した分解写真。足上げ時の安定性、滑らかな体重移動、下半身の回転、腕のしなり、キャッチャーから目を離さない視線。文句のつけようのないきれいな安定したフォームである。

 入団7年目を迎えた田中投手。三冠王はとったものの、最多奪三振のタイトルはオリックスの金子千尋投手(200個)に譲った。だが、ここぞというピンチで奪った183個の三振によって、相手チームの反撃を抑えたとの印象が強い。実際、奪三振数は、タイトルを獲得した昨年を上回った。

「ピンチに三振」の省エネ投法

 田中投手の過去4年間の成績を見ると、興味深いことに今年の成績は2011年とよく似ていることがわかる。防御率は全く同じ。試合数、投球回数、被安打、自責点もほぼ同じだ。決定的に異なるのが奪三振数である。2011年の241個(ちなみにこの年のタイトルを取ったのはダルビッシュ有=現在はテキサス・レンジャーズ)に比べ、大幅に減少した。この数字にこそ田中投手の強さの秘密の一つが隠されている。

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