2024年5月20日(月)

「永田町政治」を考える

2024年1月26日

激しい野党の追及で過去には総辞職も

 通常国会の論戦では、こうした問題で野党が舌鋒鋭く政府を追及してくると予想される。

 1月24日、前哨戦ともいうべき予算委員会審議が衆参両院で行われ、今回の政治資金規正法違反事件に絡んで末松信介参院予算委員長(安倍派)が急遽辞任した問題が事前通告なしでとりあげられ、国会論戦の前途が楽観できないことをうかがわせた。

 この日のテーマが能登半島地震復興であったことから、本格的な追及には至らなかったが、本番ではこうはいかない。ここで想起するのは、1989年のリクルート事件をめぐる竹下登内閣の総辞職だ。 

 リクルート社から未公開株を受けとった閣僚らが前年から辞任。関係者らの逮捕が相次ぐ中で召集された通常国会は荒れに荒れた。

 証人喚問問題などをめぐって、審議はたびたびストップ、予算成立の見通しが立たなくなったため、竹下登首相が4月末、退陣を表明。「政府の最高責任者として、国民の信頼を取り戻すために自ら身を引く決意を固めた」と総辞職の理由を説明した。

 岸田首相に対してもいま、国民から厳しい視線が注がれている。各メディアの世論調査では、内閣支持率が発足後最低を記録、派閥解消をめぐっても、存続の方針を維持している麻生派、茂木派からの反発も少なくない。

 党内基盤が弱体化しているなかでは、首相を盛り立てる動きは期待できそうもない。ただ、支持率が最低といっても、1月の支持率は微減か先月と同水準にとどまっている。こうした状況の中で、低落傾向が底を打った気配を見せるのはむしろ驚きというべきだろう。このあたりが事態打開にながる数少ないカギになるかもしれない。

後世に語り継がれる〝言葉〟は出るか

 過去の長い歴史をみても、国会論戦では、後世に語り継がれる舌戦が展開されたり、名演説で国民をうならせたり、首相自身や政府側が窮地に陥ったりと、多彩なドラマが展開されてきた。

 戦前では、政友会の老政客、浜田国松の〝腹切り問答〟、民政党の斎藤隆夫による反軍演説などが有名だ。

 腹切り問答は1937年1月の帝国議会本会議で、政友会の浜田国松議員が前年の二・二六事件以後、陸軍が何ら反省することなく政治干渉を繰り返していることを厳しく非難したのが発端。これに対して、寺内寿一陸軍大臣は、「軍人に対していささか侮辱するような感じがある」と恫喝したが、再質問に立った浜田は「速記録に軍を侮辱する言葉があったなら割腹して謝する。なかったら、君割腹せよ」と迫った。

 議場は大混乱、広田弘毅首相は議会を停会して陸軍を宥めようとしたが、陸相は矛を収めず、結局、広田内閣は総辞職に追い込まれた。


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