2024年5月3日(金)

Wedge REPORT

2024年4月12日

EVキッチンカーと、千房・フランチャイズ事業部の海野健太郎氏

 3月30日、フォーミュラEの東京での初の開催に合わせて東京ビッグサイトでは電気自動車(EV)関連のイベント「E-Tokyo Festival」が開催された。そこで発表されたのが、全国的に知名度の高いお好み焼きチェーン千房ホールディングスによるEVキッチンカーだ。

 ベースとなるのは京都大学発のベンチャーで商用EVの生産販売を行うフォロフライのF1シリーズと呼ばれる1トントラック。F1にはトラックタイプの他バンタイプもあり、現在生協などじわじわと導入が広がっている。

 今回のキッチンカー導入について、千房の事業統括本部、福永健一郎氏は「元々、わが社の中井寛二社長とフォロフライの小間裕康社長が親しい間柄であることから、キッチンカーを作るならばフォロフライで、と決めていた、ということがまずある」とした上で、「キッチンカーは公園や学校などに食べ物の出張販売を行うもの。

 そのため排気ガスを出さない、などより環境に優しい車が好ましいのではないか、と考えた」と語る。単においしい食べ物を届けるのではなく、SDGsへの取り組みなども同時に広めていければ、という考えが根底にある。

厨房にはお好み焼きの他たこ焼きを作るスペースも

キッチンカーの内装

 厨房にはお好み焼きの他たこ焼きを作るスペースも設置予定で、美味しいを届けたいをコンセプトとし、まずは近畿圏を中心に販売を開始する予定だ。

 その後、様子を見ながら徐々にEVキッチンカーの台数を増やす計画だが、さらに計画を進めてキッチンカーごと千房のお好み焼き出張販売、という形でのフランチャイズ推進も将来的には視野に入る、という。

 ただし今回のキッチンカーは、お好み焼きという火力を要する食品の提供だけに、調理にはプロパンガスが使われる。移動中の車体のみがEVとなる。また車内の照明冷蔵庫などには大型バッテリーが使用される予定だ。

 元となる車体、フォロフライF1トラックは普通免許運転可能車種で、最大積載量1150㎞、航続距離は270㎞となる。

 フォロフライはファブレス形式(自社で工場を持たず、設計開発のみを行い車体制作は外注にする方法)でEV開発を進めており、日本の物流のラストワンマイルでのEV導入を目指す。顧客の要望に応えるカスタマイズが可能であるため、千房の希望を叶えつつの共同開発となった。

 EVとして十分なバッテリー容量があるため、いずれは調理も電気で行え、車体からの電力ですべてを賄えるキッチンカーも作成可能だ。従来のキッチンカーは電力供給にジェネレーターを必要としていたが、EVにすることでコストも削減できる可能性がある。

 ジェネレーターなしで電力供給が可能、という点でEVにはこうした楽しむ車としての可能性が広がる。その一例がキャンピングカーだ。


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