筒香は、2月下旬に腰の張りを訴えたこともあり、マイナー降格を通告されるまでのオープン戦の打席は5試合10打席のみ。8打数1安打(2四球)、打率・125、2打点と結果を残せず、マイナーへの合流が通告された。
筒香は契約に盛り込んだオプトアウト(契約破棄条項)を行使してチームを退団。FAとなって自由に日米の他球団と交渉できる状況にあり、DeNAへの復帰が決まった。
当初は「メジャー契約」で守られていた
もしも、近年のようにアメリカでプレーしたいと考えたとすれば、移籍先が見つかってもメジャー契約は難しく、戦力などを考えて、少しでも昇格の可能性が高い球団と契約し、マイナーでプレーを続けるしかない。その上で、マイナーで成績を残し、メジャー契約の選手が不振で解雇されたり、負傷したりした場合に備えることになるが、実際には22年シーズンの途中からはメジャー昇格はかなっていなかった。
一度、メジャー契約を結んだ選手は立場が強い。筒香自身も最初に所属したレイズでは、2年総額1200万ドル(約18億5000万円)のメジャー契約だった。
ところが、1年目から期待通りの結果を残せず、レイズは2年目途中にある決断を下した。それが40人枠から外す「DFA(Designate for Assignment)」と呼ばれる手続きだ。
日本では「戦力外通告」と訳されることがあるが、トレードやFAで新しい選手を獲得したり、マイナー選手を昇格させたりする場合などに、40人枠を空ける目的がある。
この場合、7日以内にトレードされるか、球団が保有権を放棄するためにウエーバー公示される。この期間に他球団が獲得を申し入れれば、年俸などの契約内容は、移籍先球団に引き継がれて移籍する。筒香の場合、ドジャースへトレードとなり、契約は引き継がれる。結果、年俸の大半はレイズが引き続き負担した。
マイナーに落ちるのは、獲得を申し入れる球団がなかった場合に筒香が降格を受け入れた場合で、FAになって新たな条件で移籍先を探すこともできる。どの状況でも、一度結んだ契約の年俸は保証されることになる。それだけ、メジャー契約の選手は守られる立場にある。
藤浪晋太郎投手の昨季と今季の違い
メジャー契約を結んでいる選手の中でも、契約内容の詳細は選手によって違う。
例えば、複数の米メディアによれば、大谷翔平選手がドジャースと10年総額7億ドル(約1015億円)契約した内容には、オーナーや編成本部長がチームを去った場合という条件付きで契約を破棄できる条項が盛り込まれていると伝えている。トレードを拒否できる権利なども含まれる。
他にもトップ選手の契約には、マイナー降格を拒否できる条項などもある。実力があり、獲得競争が激しい選手ほど条件もアップするのは、契約交渉では当然の流れである。
一方、藤浪投手は今季、メッツと1年335万ドル(約4億8600万円)で契約したが、マイナー降格を拒否できる条項が盛り込まれていなかったと報じられている。このため、40人枠には入っていても、マイナーに帯同させることが可能で、現在は3Aでメジャー昇格を目指している。
昨季、アスレチックスと契約したときには、不調でもマイナーに落ちることはなかったため、降格拒否などの条項があった可能性もささやかれた。結果としては、先発から中継ぎへの配置転換を命じられてもメジャーで登板のチャンスが与えられ続け、この中で一定の成績を残して、シーズン中にオリオールズへのトレードが成立した。
今季の置かれている状況は厳しい。