チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年11月26日

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 中国国営新華社通信は11月15日、中国政府が「一人っ子政策」の緩和を進め、これまで一人っ子同士の夫婦に認めてきた第2子出産を、夫婦のどちらかが一人っ子の場合も認める方針を決めたと伝えた。

 もちろんそれは、同日発表された中国共産党の第18期中央委員会第3回総会(3中総会)の「決定」によるものである。「一人っ子政策」が実施されてから34年目、中国はようやく、この問題の多い国策の転換を図ることとなった。

「定年退職年齢の先延ばし」との関係は?

 それは一体何のためなのか。上述の3中総会の「決定」は、その目的を「人口の長期的かつバランスのとれた発展を促進する」としていることから、日本のメディアも含めた多くの外国メデイアはやはり、中国の高齢化に伴う将来の「労働力の減少」を食い止めることがこの政策転換の最大の狙いであろうとの分析を行っている。

 しかし果たしてその通りなのだろうか。将来における「労働力の減少」を食い止めることだけが一人っ子政策の緩和の目的なのだろうか。筆者はかなり疑問を抱いた。

 長年にわたって中国共産党政権の政策制定のプロセスを見ていると、共産党政権の幹部たちは、数十年先のことを見据えた長期的な政策決定よりも、むしろ現在直面している難題の解決につながるような急場しのぎの政策に関心が強い人たちであることがよく分かる。だから、今回の一人っ子政策緩和の意思決定も、その程度のものではないのかと思ったのだ。

 そして、上述の3中総会の「決定」をさらに丹念に読んでいくと、「今後は定年退職年齢の先伸ばしを政策として研究し制定する」との文句が盛り込まれていることを目にした時、分かったような気がした。

若者の就職難が深刻であるにもかかわらず……

 実は近年、中国国内では「定年退職年齢の先延ばし」は一つの政策議題として取り沙汰されて頻繁に議論されてきている。2010年あたりから、一部の政府直属の研究機関が、現在実施されている「60歳定年退職制」を変えて「65歳定年退職制」にすべきとの「政策提言」を行ったことから、議論が起きたわけであるが、こうした政策提言の狙いは、労働力不足から生じたものではない。

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