チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年12月27日

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富坂 聰 (とみさか・さとし)

ジャーナリスト

1964年、愛知県生まれ。北京大学中文系に留学したのち、豊富な人脈を活かした中国のインサイドリポートを続ける。著書に『苛立つ中国』(文春文庫)、『中国という大難』(新潮社)、『中国官僚覆面座談会』(小学館)、『ルポ 中国「欲望大国」』(小学館新書)、『中国報道の「裏」を読め!』(講談社)、『平成海防論 国難は海からやってくる』(新潮社)、『中国の地下経済』(文春新書)、『チャイニーズ・パズル―地方から読み解く中国・習近平体制』(ウェッジ)などがある。

中国の検索サービス大手・百度(バイドゥ)の日本語変換ソフトが、変換した文字や文章、パソコンの固有IDなどをサーバーに送信していたことがわかった。実はこの「百度」、以前から中国国内でもある問題に直面していた。

 中国検索サイト業界において圧倒的な地位を占める『百度』の名前は、日ごろ中国と接点のない日本人にも知れわたっているといっても過言ではない。しかも、誇るべきは「ヒャクド」ではなく「バイドゥ」としての知名度の高さだ。その百度を率いる李彦宏(ロビン・リー)CEO兼総裁は、国内の富豪ランキングの常連で、2013年も第3位(米『フォーブス』ランキング)、個人資産は1年で2672億円も伸びたと報じられた。

 その百度がいま企業として1つの大きな曲がり角に直面している。もし、現在直面する問題を上手く処理することができなければ、百度が今後も現在の地位にとどまることは難しいと考えられているのだ。

海賊版問題めぐり
「百度包囲網」

<ロビン・リー> 1968年、山西省生まれ。94年、ニューヨーク州立大学バッファロー校で修士号学位取得。米国でエンジニアとして活躍後、99年に中国へ帰国し、2000年百度公司を設立。中国国内シェア1位で、世界でもグーグル、ヤフーに次ぐ第3位

 11月13日、IT業界の大手4社、中国、米国、日本の著作権保護を目的とした公的組織、さらにエンターテイメント産業界も加わって、百度を公然と批判する連携が生まれ、共同記者会見を開いたのである。

 その名も「中国ネット動画サイト反海賊版連合行動宣言」─。同時に百度に対して3億元(約48億円)の賠償を請求したというから穏やかな話ではない。

 北京の夕刊紙記者が語る。

 「動画閲覧サイトをめぐるこの問題は、他のサイトが有料で版権を取得しているのに対し、百度が違法に動画を提供するため、大きな損失を被ってきたことに対する怒りをぶつけたものです。しかし、その裏にはもう少し根深い問題があります。というのも百度の大躍進の陰にはずっとある共産党幹部との癒着があるとささやかれてきましたが、今回の問題はそのことへの不満が噴出した1つの例だと考えられています」

 10年の年初から噴出した中国政府とグーグルとの争いでは、人権問題の視点からのみ世界で大きく取り上げられたが、当時、一部の関係者の間では百度の圧倒的な地位を確立するためのグーグル虐めという見方も示された。真偽ははっきりとはしないが、それはずっと共産党内で宣伝を牛耳ってきた人物との関係だと指摘されてきた。

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