世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年1月20日

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 ヘーゲル国防長官が日本を訪れた際に日米同盟を再確認したことにより、韓国で戦略をめぐる論争が起きている、と釜山大学校国際関係准教授ロバート・ケリーが、Diplomat誌ウェブサイト12月11日付掲載の論説で述べている。

 すなわち、韓国国民は、(1)韓国は米国と中国との間で板挟みになっている、(2)日本は中国との対立を隠さなくなっている、(3)米国のアジア回帰は、米国が太平洋国家となろうとしているというよりは、中国がアジアで権勢を振るうのを阻止するための軍事的、外交的政策によるものである、との認識を次第に強くしている。

 一般に、とりわけ米国では、韓国が、米国、日本、オーストラリアや他の民主主義国家と足並みを揃えると考えがちである。しかし、韓国国民は、必ずしもそうではない。米国は、アジアにおける中国の台頭を懸念しているが、韓国は、米国のこの認識を共有しない。韓国国民にとっては、中国よりも日本に対する敵対心の方が強い。

 韓国が中国に好意的な立場をとる理由は4つある。第一の、そして最大の理由は、中国が北朝鮮を支援していることである。韓国が中国と敵対すれば、戦後の朝鮮半島分断を更に長引かせることになる。第二に、中国は韓国にとって最大の輸出市場である。第三に、李氏朝鮮の時代から、韓国と中国とは文化的結びつきが強い。第四に、1590年代の壬辰戦争(豊臣秀吉による朝鮮出兵)の際に、明朝は、韓国からの日本軍撤退を助けた。

 他方、韓国が日本に好意的でない理由は以下の点である。まずは、靖国参拝問題である。第二に、独島(竹島)の問題がある。この問題は、島そのものの価値に比べて大げさに騒がれているが、韓国ナショナリズムにとって1つのシンボルとなっている。第三は、慰安婦問題である。1965年の日韓条約で法的な補償請求の問題は解決している筈であるが、韓国は、補償金の受け取りだけではなく、日本が罪を認めることを望んでいる。第四に、韓国にとっては、日本における歴史教育の在り方が問題となっている。韓国は、日本の歴史教育において、日本の植民地支配を強引な帝国主義として否定することを望んでいる

 これらのことが、日韓関係の改善の妨げとなっている。韓国にとって、米国の同盟国としての韓国と日本は、ゼロサム的に捉えられており、米国は、韓国ではなく日本を選んだという認識の下に、米国との距離をめぐる、現在の戦略論争が起きているのである。

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