中国メディアは何を報じているか

2014年2月13日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 谷俊山の汚職発覚から10か月経って捜査員が濮陽の実家を家宅捜査し、栄華を誇った谷一族の崩壊が始まった。13年1月16日に谷俊山の弟、谷献軍が贈収賄の容疑者として指名手配され、8月に捕まった。

捜査結果を社会に広く知らしめるべき

記事(2)【2014年1月16日付 『環球網』社説(抄訳)】

軍総後勤部の谷俊山副部長の汚職がメディアで暴露され、人々の度肝を抜いた。彼は2006年に汚職で退職した(実際には逮捕:筆者)海軍の王守業副司令官と似ている。彼らは共に総後勤部傘下のインフラ建設住宅部の部長を歴任したのだ。「家を建てる」ことで高官まで上り詰めたのだから、どれだけの謝礼を受け取り、どれだけ送ったのか。「官職売買」は地方幹部だけでなく軍でもあったことを人々に知らしめたのだ。

 私たちは谷俊山事件を厳格に扱うだけでなく、捜査結果を社会に広く知らしめることを求めたい。何が起きているかはっきりさせるよう軍内部の捜査と世論が連携できるようにすることだ。これにより世論の監督と圧力が形成される。軍の束縛を憂慮する必要はなく、それどころか軍建設強化に社会から推進力を与えるだろう。

 民衆の支持を集め、自分たちの解放軍を熱愛する状況は谷俊山事件で変わることはない。人々にとって汚職が社会全体を腐食させ軍に汚染が及ぶのは意外ではない。人々は軍の汚職摘発の決心が地方政府よりもっと断固としており、この度の内部掃除で清潔になることを期待している。「8項規定」(倹約令とも称される:筆者)を実践する上で解放軍はその最前列を走る。「禁酒令」と「国産車」(外国高級車禁止:筆者)導入措置は、政府・党中央と歩調を合わせるものだ。

 時代は変わり、谷俊山事件は公開と監督の重要性を証明した。かつて軍は秘密保全の必要もあり世論の範疇外にあった。しかし過度の秘密保全はもろ刃のやいばでもある。大衆が部隊や軍人の振舞を監督し、それを推進することは軍との距離を縮める機会にもなる。一定の開放も現代の国防には必要であり、平和な時期に国民に対して国防という分野も理解してもらい支持を得ることにつながるのだ。

* * *

【解説】

 谷俊山の汚職発覚は軍に大激震をもたらした。政権交代時に起きた薄煕来事件と期を同じくして発覚した軍高官の汚職であり、これまで摘発された軍高官の中で王守業と並んで最高位の幹部だ。真偽は不明だが、谷将軍は薄煕来の妻、谷開来の親戚という噂もある。

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