WEDGE REPORT

2014年2月24日

─世界経済の今後について、どう見ていますか。

 私はこれからの国家経済運営において、中国の国家資本主義的「北京コンセンサス」も、米国の新自由主義的「ワシントンコンセンサス」もうまくいかないと見ている。

 北京コンセンサスは、外国の資本と技術を頼りに、国内のあり余った労働者を活用する手法だ。成長率は高くても、中産階級は生まれず、格差に国民の不満が渦巻いている。

 「小さな政府」を志向し、国境を越えた資本の自由な移動を推進するワシントンコンセンサスも問題が多い。グローバル資本主義はこれまで世界経済をダイナミックに拡大させてきたが、金融市場の不安定性、所得格差拡大と社会の二極化、地球環境汚染の加速や食品汚染の連鎖といった本質的欠陥を解決できていない。

 私は、12年間の台湾総統時代、まず農業の発展に力を注いだ。そして、農業が生み出した余剰資本と余剰労働力を活用して工業を育成した。国家が基礎になって、国内の資源配分を行うこの経済運営は、日本がモデルになっている。

 経済発展は、元手となる初期資本をどこから生み出すかにかかっている。西欧は植民地から奪うことができたが、アジアの国々は地租を基礎にするしかない。日本の戦後の傾斜生産方式はその代表例だった。

 今後も、グローバル資本主義にただ任せておけば国内の経済が良くなるという可能性はあまりない。個別国家の役割は依然として重要で、とりわけ指導者の責任は重い。その意味で、安倍総理が打ち出している「3本の矢」を高く評価している。

─中国や韓国は安倍政権の外交政策を批判しています。

 安倍総理が就任早々、大胆な金融政策を打つと同時に、東南アジアを歴訪したのは素晴らしいことだ。中国や韓国の理不尽な要求に屈せず、アジアで主体性を持った外交を展開しようとしている。日本は、世界のためにアジアの指導者たれ、です。

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