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太陽光バブル最前線・九州 メガソーラー乱開発で「エコ」と矛盾も

Wedge編集部

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ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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牧草地の入会地(市有地)を売却し、メガソーラーを開発する計画が進行し、近隣の別荘地エリアから反対の声があがっている(湯布院塚原高原)。

 市有地といっても、むかし牧草地の入会地(集落で共有している土地)だったものを、管理は地主のままで、所有権だけ市に移したものだ。昨今は、地主の高齢化に伴い管理もできない状況になっており、地主の要望を受けて市が売却のためプロポーザル(企画提案)方式で募集をかけた。最終的に、メガソーラー事業で1社が提案書提出に至っている。

 しかし、別荘地エリアの住民から、「麓を黒い太陽光パネルで埋め尽くすと景観が害される」と反対の声が相次ぎ、売却手続きが中断している。

 別荘地エリアでも別の開発計画が持ち上がっている。バブル崩壊で、別荘分譲が途中段階のまま、運営主体が倒産。数回の売却を経て最終的に中国系資本が86万平方メートルの土地を約6億円で取得。メガソーラー事業を営む特定目的会社(SPC)を設立した。

 反対運動は拡大し、由布市は大急ぎで全国的にも類例のない通称「メガソーラー抑制条例」を制定。市長が抑制区域を指定し、事業者に対して太陽光パネルなどを設置しないよう協力を求めることができると規定した。しかし、FITは国の法律で、自治体の関与は規定されておらず、事業者の自由な経済活動を安易に妨げることはできない。「あくまで要請レベルであり、罰則などはない」(市総合政策課)と苦しい立てつけだ。

 国東半島より少し遅れてメガソーラー開発がピークを迎えているのが、宮崎県宮崎市である。

周囲の養鰻池が相次いで埋め立てられメガソーラーに。近くの沼地には多くの貴重な野鳥が集う。写真はツクシガモの群れ(宮崎県宮崎市、撮影:福島英樹さん)

 「この1年で、養鰻池がたくさん埋められてメガソーラーに変わった」(ある住民)。養鰻は近年の稚魚高騰もあって経営が悪化。折からの経営者の高齢化もあり、事業転換した人が少なくないようだ。土地の引き合いがよほど強いのか、「最近は売却ではなく賃貸が増えている」との声も聞かれた。

 活発なメガソーラー建設のそばの沼地で、野鳥調査をする福島英樹さんに出会った。「この沼には、世界で8000羽しかいないツクシガモが100羽以上飛来しています。この数カ月でメガソーラーがとても増えてびっくり。今後開発を進めるにあたっては、野鳥が好む水場や、隠れ家になる草地を壊さないように配慮してほしい」と語る。

 太陽光が「エコ」だとは限らない。

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