世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年3月25日

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 ペンシルベニア州立大学名誉教授の張旭成(P.チャン)が、習近平下の中国は、胡錦濤時代に比べて、より強力かつ、より迅速に台湾との「和平協定」締結を進めようとしている、と2月10日付タイペイ・タイムズで述べています。

 すなわち、習近平が党主席になってから中国の対台湾政策は変わりつつある。胡錦濤は米国との軍事的対決を避け、武力で台湾を脅迫することを控えた。胡錦濤が側近に語った言葉として伝えられているのは、台湾を軍事的に征服することに比べれば、これを「買収」することははるかにたやすく、またより安上がりである、ということである。

 その結果、特に、経済、メディア、人的往来などを通じて、中国は台湾への浸透を図ってきた。2009年に締結されたECFA(経済協力枠組み協定)に基づき、18の協定が締結された。現在1週間に台湾と中国の間を直航する飛行機の便数は670である。台湾の観光地は、中国からの観光客たちであふれている。中でも台湾の企業家たちは「両岸の和解」という中国の主張の強固な支持者たちとなった。2012年の総統選挙の際には、何万人という台湾企業家たちが特別のチャーター便で勤務地の中国大陸から台湾に帰国し、国民党に投票した。メディアの分野では、中国は取引のある台湾実業家たちに働きかけて、台湾の新聞やテレビ局を買収させた。これらのメディアは中国から資金援助を受けながら、プロパガンダ情報を流している。

 習近平になってからは、台湾への基本的アプローチを前任者より受け継ぎつつも、より強力に、またより迅速に台湾を統一するという目標を追求している。中国は馬政権に強い圧力をかけて、中台間の政治対話や和平協定締結に向かわせようとしている。馬政権はこれまでのところ、「まず経済、その後、政治」との対応をとっている。

 昨年10月のAPECの場(バリ島)で習近平は馬英九の特使に対し、焦りの気持ちを示し、中台間は「一歩一歩解決に向かわねばならず、次世代に解決を引き延ばすべきではない」と強調した。経済面では、サービス貿易協定は台湾において批准されていない。北京から見ればこの協定は台湾統一への政治的一歩になるものである。この協定は、香港で見られるように、中国のエージェントたちが台湾で生活し、仕事をするための法的な庇護を提供するものだ。

 本年11月の地方選挙、2016年の総統選挙において、台湾の選挙民たちが国民党の候補たちを拒否するのではないかと中国は心配している。

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