40代からの脳力の磨き方

2009年5月21日

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久保田競 (くぼた・きそう)

東京大学医学部を卒業後、同大大学院で脳神経生理学を学ぶ。1967年に京都大学霊長類研究所で助教授から所長を歴任し、京都大学を退官。京都大学名誉教授に。現在も研究活動を続けながら、森之宮病院と日立製作所基礎研究所の顧問、国際医学技術専門学校の副校長を兼任。著書に『脳を良くする小さな習慣』(アスキー)『衰えない脳は14日でつくれる』(大和書房)ほか。

これまで3回にわたって、食事や運動面から脳力を磨く方法についてお話をしてきました。今回は総まとめとして、脳に悪影響を与える生活習慣を取り上げ、脳に悪い習慣を避けて脳力を高める方法について、お話しします。

長く続く過度のストレスは、早めに取り除く工夫を

 脳力を高めるために妨げとなるもののひとつは、「過度のストレス」です。ストレスは、日常生活をしていくなかでは、誰もが多少は感じているもの。しかし、そのストレスが異常なほど強くなり、それが長く続くようになると問題です。

 ストレスの原因には、過労や体の不調、精神的苦痛、さらには異常気象による酷暑などがあります。どれも、長く続くと脳の働きが悪くなってきますので、できるだけ早く取り除かなければなりません。過労のときは仕事を減らしてゆっくり休む、体に不調があるときは医師の診断を受けて治す、酷暑のときは我慢しないでクーラーを使って涼しくするなどの対処が必要です。

 なぜストレスが脳に悪いのか。ストレスを受けると内分泌系が働き、脳はストレスに対抗するために、副腎髄質からストレスホルモンと呼ばれるアドレナリンやノルアドレナリンを分泌します。これらのホルモンにより、血圧の上昇、血管の収縮、動悸などが起こり、体はストレスに耐えやすい状態になります。続いて、副腎皮質ホルモンのコルチゾールが分泌され、代謝活動を高めてさらにストレスに対抗します。

 ところが、ストレスが長期間続いてコルチゾールが過剰に分泌されるようになると、脳にも作用するようになり、前頭前野の9野や海馬、扁桃核の樹状突起やシナプスを消滅させ、神経細胞を減少させてしまうのです。

 前頭前野の9野は物事を判断する場所であるため、神経細胞が減少すると、問題解決能力が下がってしまいます。また、海馬が萎縮すると新しいことを覚えられなくなり、頭の働きが悪くなっていきます。扁桃核は、様々な感情を判断するところです。そこがうまく働かなくなると、それまではうれしいこと、悲しいこと、好き嫌いを判断できていたのができなくなり、常に憂うつな状態になってしまいます。それがひどくなった状態がうつ病です。物事を積極的にやる気がしない、食欲がない、睡眠時間が十分とれないという状態になりますが、それらもすべて、脳の働きが悪くなることから起きています。

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