世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年4月8日

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 米ワシントン・ポスト紙のコラムニスト、イグネイシャスが、上海で開催された国際会議に出席し、2月27日付同紙掲載のコラムで、会議では中国が自己主張を強めていることが地域の緊張を高めているとのコンセンサスがあったと報告し、中国の当局者がよく言うウィン・ウィンの関係は期待できない、と述べています。

 すなわち、当地(上海)での会議で、中国の軍事専門家の一人は、中国の太平洋における穏健な興隆が不可避であることを説明し、「あなた方は中国を信頼すべきだ。10年以内に、我々はさらに強力になり、あなた方は、より安全になったと感じるであろう」と言った。

 この予言は、議論に参加した何十人もの欧米の専門家を安心させたようには見えなかった。むしろ、中国人のほとんどの参加者も含めて、北京の軍事力増強は、近隣国に懸念を抱かせ、日本、フィリピン、ベトナムとの間で、島の領有権や海洋の権利をめぐる摩擦を引き起こしている、というコンセンサスがあった。

 件の中国の軍事専門家は、「あなた方は我々が弱いもの苛めをしていると思っているだろうが、我々は犠牲者だと思っている」と言った。しかし、参加者の誰もが、太平洋における緊張が高まっていること、そして中国と隣国が出口を見つけられずにいるように見えることを否定しなかった。米国は困惑しながら間に立ち、日本のような伝統的な同盟国を、向こう見ずな行動に走らせることなく、支持しようとしている。

 太平洋における戦争の危険が堂々とここで話し合われていることは、時代の動向を示している。ほんの数年前、同様の会議では、中国の当局者たちが、海外の専門家を、興隆する中国は米国や地域の国々と衝突するつもりはないと安心させようとしていたが、トーンは大きく変化した。今や、東シナ海、南シナ海における衝突の可能性は高いように思われる。

 2カ月前のサンディエゴでの会議で、米海軍のJames Fanell大佐は、中国は尖閣に対する優位を主張するために「電撃作戦」の演習をしている、と警告した。同大佐は、北京による海洋の権利の保護への言及は、実際には、隣国の沿岸に対する権利を威嚇的に奪うことの、中国による婉曲的表現である、と指摘している。

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