中島厚志が読み解く「激動の経済」

2014年4月22日

»著者プロフィール
著者
閉じる

中島厚志 (なかじま・あつし)

経済産業研究所理事長

1952年生まれ。東京都出身。東大法学部卒業後、75年日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。パリ興銀社長、日本興業銀行調査部長、みずほ総合研究所専務執行役員チーフエコノミストなどを経て現職。著書に『統計で読み解く日本経済 最強の成長戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『日本の突破口―経済停滞の原因は国民意識にあり』『世界経済連鎖する危機―「金融危機」「世界同時不況」の行方を読む』(東洋経済新報社)など。

 中国の14年1-3月期実質GDP成長率が発表され、プラス7.4%(前年同期比)の成長となった。13年10-12月期のプラス7.7%成長から鈍化しており、政府成長率目標のプラス7.5%前後には収まるものの、景気の減速感は否めない。

 景気減速を受けて、中国の李克強首相は4月2日に(1)中小企業の減税、(2)都市の住宅再開発と住宅金融の充実、(3)鉄道建設の推進の3項目からなる景気対策を決定した。合計1兆元(17兆円)を超える規模となる模様であり、これで景気は盛り返すこととなろう。

 政府の景気テコ入れは、今や中国経済の成長に益々大きく依存する世界経済にとってはプラスとなる。まして、政府の経済成長目標7.5%達成が展望できることとなれば、中国経済に一喜一憂する市場にはとりわけプラスに効くことにもなろう。

 しかし、景気対策は良いことばかりではない。それは、中国経済が、過剰なまでの政府による投資主導でけん引してきた経済成長を、投資と消費のバランスが取れた経済成長に変化させる構造転換の途上にあるからである。そして、経済構造転換を図る中での公共事業を中心とする景気対策は、短期的には景気を支えるものの、一方で中国経済が必要とする構造転換を遅らせかねない。

 中国経済では、新規求職者を吸収する当面の経済成長も、持続的な安定成長を実現する構造転換も不可欠であり、近視眼的に見るだけでは見誤ることになる。中長期的視点を踏まえながら足元の動向を見ることが欠かせない。

政府目標目指す経済成長

 今年1-3月期の実質GDP成長率以外の指標を見ても、中国経済の減速傾向は明らかとなっている。生産、投資、消費や雇用など多くの指標で構成されている景気動向指数を見ても、足元の景気動向を示す一致指数のみならず先行きの景気動向を示す先行指数も下落傾向にある(図表1)。

【図表1 】中国:景気動向指数の推移
拡大画像表示

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る