世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年5月2日

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 フィナンシャル・タイムズ紙の中東編集長、ルーラ・カラフが、3月24日付同紙において、欧米とロシアの対立がイラン核問題など米の中東政策に与える影響を論じ、イランの目標は西側との関係改善であり、ロシアとの関係緊密化ではない、と言っています。

 すなわち、ウクライナ危機がロシアの中東政策やイランに影響しないと見るのは希望的観測であろう。イランは米国をもっとも傷つけられる立場にあるからである。

 プーチンは、強烈なナショナリズムと歴史的不正義によって動機づけられ、結果を考えずに西側を攻撃している。彼は西側の制裁にあらゆる手段で報復しようとするだろう。

 イラン核交渉にたずさわったアインホーンは、「合理的に見れば、ロシアがイラン交渉を掘り崩す理由はないが、プーチンが費用と便益を計算するとは期待できない」と述べた。

 ウィーンでのイラン核交渉の後、ロシア側は、イラン交渉をゲームの一部として使うかもしれない、と警告した。外交専門家のルキヤノフは、ロシアはイランとの関係を強化し、シリアへの武器供給を増やすだろう、中東での米国の困難を軽減する理由はないと述べた。

 しかし、ロシアは、イラン交渉への対応を通じて西側の利益にどれくらいの損害を与えられるのか。イラン交渉から撤退するのは無意味であるが、西側の決意を弱め、イランを大胆にするように試み得る。専門家は、2010年、米国の圧力で取り止めになったS-300防空ミサイル売却などの武器売却が心配であるとする。これは、イスラエルのイラン攻撃能力を減少させる。

 更に、ロシアは銀行にテヘランとの取引を許可し、貿易協定を再活性化しうる。イラン石油を、装備などとのバーターで購入するとの噂は前からある。

 そういう戦略が効果的か、疑問視する専門家はいるが、ロンドンの国際戦略研究所(IISS)の専門家は、石油禁輸破りは、中国その他が制裁を無視することを奨励し、イランを強硬にさせかねないと、言っている。

 イランは大国を分裂させる戦術を好み、その可能性を考慮していよう。しかしイランの高官は、東西緊張は地雷原であると意識している。クリミア併合について用心深く対応し、ロシアのガスへの依存減少はイランの機会との声もある。

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