患者もつくる 医療の未来

2014年4月25日

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勝村久司 (かつむら・ひさし)

高等学校地学教諭、元厚生労働省医療安全対策検討WG委員

1961年生まれ。京都教育大学理学科卒業。高等学校地学教諭。1990年、陣痛促進剤による被害で長女を失い、医療事故や薬害などの市民運動に取り組む。厚生労働省の中央社会保険医療協議会や日本医療機能評価機構の産科医療補償制度再発防止委員会などの委員を歴任。2015年8月より群馬大学附属病院で腹腔鏡等で死亡事故が相次いだ事件の医療事故調査委員に就任。著書に『ぼくの星の王子さまへ』(幻冬舎文庫)、共著書に『どうなる!どうする?医療事故調査制度』(さいろ社)など。

 出産時の何らかの事故で重度の脳性麻痺になった子どもに補償金を支払う「産科医療補償制度」。この制度は、対象となった重度の脳性麻痺の子どもの事例を全て原因分析して、再発防止に生かす取り組みをしていますが、今年2月に「再発防止委員会からの提言」を出し、4月14日に、「第4回再発防止に関する報告書」を公表しました。

 2009年1月1日に始まったこの制度は、一つひとつの事例の原因分析報告書を元に、2011年から毎年、「再発防止に関する報告書」を出していますが、第1回報告書は、分析対象15事例を元に、第2回では79事例、第3回は188事例と増え、そして今回の第4回では319の重度の脳性麻痺事例を元にした報告書が公表されたのです。

 これらの報告書は、毎回、それまでの原因分析結果から、再発防止策を検討すべきテーマがいくつか選定されて、その対策としての提言が出されます。

 これまでの4回の報告書でテーマに上がったのは、「胎児心拍の聴取」「新生児蘇生」「子宮収縮薬(陣痛促進剤)」「臍帯脱出」「常位胎盤早期剥離」がそれぞれ2回ずつ、そして、「診療録等の記載」「吸引分娩」「子宮破裂」「子宮内感染」「搬送体制」「クリステレル」が1回ずつです。

 どのテーマも、これから出産を控えている人やその家族にとっては大事なものばかりですが、まずは、今回の公表の中で特に注目すべきと考えられる3点について知っておいてほしいと思います。

無くならない子宮収縮薬のガイドライン違反

 一つ目は、陣痛を起こしたり、強めたりする「子宮収縮薬(陣痛促進剤)」についてです。

 子宮収縮薬は、感受性の個人差が国内では100倍以上、海外では1000倍以上と言われています。少量でも陣痛が強くなり過ぎる場合があり、赤ちゃんが低酸素状態になって脳性まひになるなどの被害が繰り返されていることが半世紀近くにわたり、警告され続けてきた薬です。

 第1回目の報告書が公表されたときに最も注目されたのも、やはりこの薬の問題でした。当時、重度の脳性麻痺になった対象事例15例の中で、使用方法の基準を逸脱して「子宮収縮薬」が使われていたケースが6例もあったからです(詳細については、2年前に書いたコラム「出産時の事故から身を守る~重度脳性麻痺とずさんな医療~」をご覧下さい)。

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