患者もつくる 医療の未来

2014年5月28日

»著者プロフィール
閉じる

勝村久司 (かつむら・ひさし)

高等学校地学教諭、元厚生労働省医療安全対策検討WG委員

1961年生まれ。京都教育大学理学科卒業。高等学校地学教諭。1990年、陣痛促進剤による被害で長女を失い、医療事故や薬害などの市民運動に取り組む。厚生労働省の中央社会保険医療協議会や日本医療機能評価機構の産科医療補償制度再発防止委員会などの委員を歴任。2015年8月より群馬大学附属病院で腹腔鏡等で死亡事故が相次いだ事件の医療事故調査委員に就任。著書に『ぼくの星の王子さまへ』(幻冬舎文庫)、共著書に『どうなる!どうする?医療事故調査制度』(さいろ社)など。

 出産時の何らかの事故で重度の脳性麻痺になった子どもに補償金を支払う「産科医療補償制度」。2009年に始まったこの制度は、補償対象となった重度の脳性麻痺の子どもの事例を全て原因分析して、再発防止に生かす取り組みをしています。そして、今年4月、昨年末までの319の重度の脳性麻痺事例の原因分析を元にした「第4回再発防止に関する報告書」がまとめられ、公表されました。

 今回の報告内容で最も注目され、大きく報道されたのは、「子宮破裂」についてでした。

子宮破裂の原因は何か

 今回の重度の脳性麻痺になった事例の分析で、子宮破裂があったのは12例で、その内、入院後に子宮破裂に至る事故が起きたケースが9例ありました。

 子宮が破裂するというのは、出産においては相当深刻な事態です。特に、医療機関に入院した後に子宮破裂が引き起こされた事故については、医療の管理下ですから、避けることはできなかったのか、という視点で、より緊急に原因分析をして再発防止策を講じることが重要な事例だと考えられます。

 この9例の内、子宮に奇形があった1例を除く、残りの8例の事故の原因は、大きく二つに分けることができます。まず、過去に帝王切開術の既往があったのに、経膣分娩を目指して子宮破裂になったケースが5例。これらの事例の再発防止策については、後ほどお話しします。そして、残りの3例は、前篇でお話しした「陣痛促進剤(子宮収縮薬)」と、これからお話する「クリステレル胎児圧出法」が関連するケースでした。

 実は、この産科医療補償制度が始まる以前に、たくさん提起されていた産科の医療訴訟でも、子宮破裂に至った事例が少なくありませんでした。そして、裁判でその原因として被害者たちがこだわってきたものも、やはり、「陣痛促進剤」や「クリステレル」の問題でした。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る