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2014年8月4日

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田牧一郎 (たまき・いちろう)

田牧ファームズ代表

1952年福島県郡山市生まれ。田牧ファームズ代表。コメ生産者として郡山市で15年、カリフォルニアで20年、「国際競争力のあるコメつくり」をテーマにコメの生産・販売を行う。2012年からはウルグアイで事業を開始。世界の「おいしいごはん」マーケットに輸出を計画。日本のコメ産業も強くなれるはずと、日本でも試行錯誤中。

 パスタと並ぶイタリアの伝統料理に、コメを使った「リゾット」があります。イタリアは、欧州最大のコメ生産国(2012年=約158万トン)。北部を中心に稲作が盛んで、コメを食べる文化も受け継がれています。

 イタリアでリゾットに使われるコメは、日本のコシヒカリのふた回りぐらい粒が大きく、丸い短粒種。山田錦など日本酒の醸造に使われるコメ(酒米)に似ています。

 リゾットの調理方法は、フライパンにバターを溶かし、コメを炒め、ブイヨンや白ワインなどを加えて煮詰めます。コメは粒の表面にとろみを出しながらも、芯を残すのがイタリア流(アル・デンテ)。ワインのようにビンテージの文化もあり、最高級のリゾット専用米は7年モノといいます。

 筆者が、米国・ロサンゼルスで見た小売価格は、1年モノが1キロ当たり9ドルだったのに対し、7年モノは1キロ当たり16ドルでした。日本でもインターネット通販で、500グラムの缶入りブランド米が2000~5000円ぐらいで購入できるようです。

 日本では、古米になると風味や粘りが落ち、古米特有の臭いも出るため、価値が下がりますが、イタリアで古米に需要があるのはなぜでしょうか。十分に乾燥させることで、硬く、芯がしっかりしたコメに熟成されるからと言われています。

専用米という発想

 筆者も、本場イタリアと、ウルグアイの高級リゾートのレストランでリゾットを勧められて食べたことがあります。しかし、表面から芯まで均一にふっくらと炊き上げる日本のご飯、柔らかくも弾力を持った食感を味わえるコメの生産や精米を目標にしてきた筆者には、芯が残るコメは、馴染めない食感でもありました。

 やはり、美味しいリゾットというのは、日本のコメ、特にコシヒカリを使ったものではないかと思っています。粒の表面が滑らか(日本以外では、粗い砥石で精米するので表面がザラザラ)で、生煮えに感じる芯ではなく、しっかりとした弾力で歯ごたえを残す―そんなリゾットが食べられないかと考えていたところ、ロサンゼルスのシェフが試作に協力してくれました。そして、現地の食にうるさい知人たちの評判も上々。レストランのメニューに加えるというので、筆者が手掛けるコメを依頼されたほどでした。

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