いよいよ夏休みシーズンが到来した。学校が休みになる子供ならずとも、心浮きたつ季節になった。7月に入った頃から新聞やテレビの各メディアでも夏休みに向けたエンターテインメントなどを紹介する記事が増えたなと思っていたが、実はエンタメを紹介するのはメディアとってはなかなか難しい。「いいよ、楽しいよ」という表現ばかりでは、どうしても特定の企業の宣伝くさくなってしまう。とはいえ、あまり簡単に扱っても新しいサービスや企画などの魅力を十分に伝えられない。
「新エリア」オープンを各紙大きく扱う
どこで線を引くかが難しいところだが、7月15日に大阪市のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)で、イギリスの人気児童文学「ハリー・ポッター」とその映画をテーマにした新エリアを開業したというニュースは、当日の夕刊から新聞各紙とも一面で大きく報じていた。すべてが新しくできた訳でもなく、「新エリア」のオープンなのに、破格に大きな扱いだ。日本経済新聞は「ハリポタ 魔法の世界へ。USJに新エリア、ファン行列」、朝日新聞は「ようこそ魔法界へ 大阪・USJに新エリア」、読売新聞は「ようこそ魔法学校へ」、毎日新聞は「USJ:『ハリポタの世界』オープン」、という具合だ。また朝日などは翌日の朝刊の経済面でも大きく扱っていた。
各紙の記事によると新エリアには過去最大の450億円を投じているという。学校が夏休みに入る直前のタイミングで、ハリー・ポッターという世代を超えて好まれるテーマだけに話題性は満点で、ニュースとしての価値は大きい。朝日新聞は経済面で連載企画「けいざい新話 USJの魔法」を組んで、実現にいたる関係者の苦労や企業の決断などを4回シリーズにまとめて読ませた。
経済ニュースとしてテーマパークをビジネス面から解説した記事もこのタイミングにあわせて見られた。日経新聞は開業当日の15日の朝刊で「レジャー客争奪、夏の陣」とする解説記事をのせ、全国のテーマパークが積極的な投資に動いていることを紹介した。東京ディズニーリゾート(TDR)も14年から10年間で5000億円規模を投資するという。全体的に来場者が増え、消費対象としての需要が増えていることを示しており、2013年度のテーマパーク売上高は2000年の調査開始以来、最高だったという。
開業に先立ち、読売も、7月12日、「二大テーマパーク飛躍」と見出しをとって、USJの新エリア開業にタイミングを合わせて、TDRとUSJの東西のテーマパークの取り組みをまとめた。これらが地域や既存の事業にとどまらず、多角化を進めることなどに言及した点は印象的だった。