世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年8月27日

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 米クレアモントマッケナ大学ミンシン・ペイ教授が、欧州諸国は経済的利益のために対中批判を封印して対中接近を進めており、米国はフラストレーションを持って見守っているが、短期的に米国に出来ることは無いと、National Interest誌ウェブサイトに7月12日付で掲載された論説で述べています。

 すなわち、この2年間、中国外交は困難な状況に陥っている。東アジアでは、近隣諸国との領土・海洋紛争が益々険悪で危険なものとなって来ている。最も重要である米中関係は、サイバー・スパイ問題、中国に対抗する近隣諸国への米国の支持、戦略的不信感の高まりにより、深刻なまでに緊張している。

 しかし、中国外交にとって明るい局面が少なくとも一つは有る。主要な欧州諸国との関係がこれまでに無く良好なことである。中国が欧州の取り込みに成功していることは、近年の欧州首脳の、相次ぐ北京訪問からも解る。

 中国・欧州の接近は、一方通行のものではない。欧州に対する中国の最近の微笑攻勢は、習近平主席自らが主導している。同主席は、本年4月、オランダ、ドイツ、フランス、ベルギーを訪問し、また、中国の国家主席として初めてEU本部を公式訪問した。6月には、李克強首相が訪英し、エリザベス女王に拝謁する機会を与えられるという、英王室のプロトコルに反する、異例の厚遇を受けた。

 欧州における中国の外交的成功は、欧州の弱さと中国のマキャベリ的戦術によるものである。中国の指導層は、欧州のアキレス腱を知っている。政策調整の欠如、対抗意識、ソフト・パワーへの過信、並びに、中国での取引で米国企業に勝ちたいとの必死の思い、などである。アジアにおける平和と安定の保障国である米国が、中国とは異なる安全保障上の利害関係を有するのに対し、欧州は、幸いにも、中国の軍事力増強や強引な外交政策が生み出す地政学的緊張関係からは遠く離れたところにいる。中国の指導部は、経済が、欧州から期待通りの反応を引き出すための、強力な梃子であることを、良く知っている。

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