世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年9月16日

 米ハーバード大学のジョゼフ・ナイ教授が、8月6日付Project Syndicateのサイトで、集団的自衛権の行使容認を含む、日本の防衛政策は正しいものであると評価し、日米同盟はより対等なものになるべきであり、そのためには、米軍基地を日本に徐々に返還していくべきである、と言っています。

 すなわち、安倍晋三総理は、集団的自衛権の行使容認を含む憲法解釈変更を可能にする立法措置を講じようとしており、それにより、日本は、他国、特に米国との安保協力を高めることになろう。安倍総理の目標は、あくまで控えめなものである。

 安倍総理が自衛権の範囲を拡大したい理由を理解するのは難しくない。日本は、根の深い緊張がいつ爆発してもおかしくない、危険な地域に位置している。東アジアは、欧州と異なり、ライバル間での完全な和解を経験したり、強力な地域機構を設立したりしたことがないので、地域の安定を保つためには、日米安保条約に依存せざるをえなかった。オバマ政権は、2011年に、アジアへのリバランスを宣言し、日米同盟がアジアの安定の礎であるとした1996年の「クリントン・橋本宣言」を再確認した。同宣言は、安定した米日中関係の構築という、より大きな目標に貢献した。

 しかし、日本は、極度に脆弱なままである。最も差し迫った脅威は北朝鮮だが、長期的な懸念は、中国の台頭である。事態を複雑にしているのは、中国の政治が、経済成長と歩調を合わせることが出来ていないことである。中国共産党が、不十分な政治参加と、社会的抑圧の継続に不満を抱く大衆からの脅威を感じれば、競争的ナショナリズムに陥り得る。それは、既に微妙な地域の現状を、ひっくり返すことになる。

 中国が攻撃的になれば、印豪といったアジアの国々は、当然、中国のパワーを相殺しようとする努力において、日本に与するであろう。しかし、封じ込め戦略は誤りである。結局、最も敵意を生じさせるやり方は、中国を敵として扱うことである。

 もっと効果的なアプローチは、日米が先導者となり、地域の統合に焦点を当て、不確実性をヘッジすることである。日米の指導者は、中国が、責任ある行動をとるインセンティブを持つような地域的環境を作り出さなければならない。それは、強力な防衛能力を維持することも含む。

 同時に、日米は、同盟の構造を再考しなければならない。予定されている日本の防衛枠組みの改定は前向きな進展だが、多くの日本人は、同盟の義務の非対称性に、まだ怒りを持っている。米軍基地の負担、特に沖縄における負担に憤っている者もいる。

 それゆえ、長期的目標は、米国が、基地を徐々に日本の支配下に移し、米軍をそれらの間でローテーションさせるようにする、ということであるべきである。実際、三沢基地などでは、米軍の部隊を駐留させながら、日本の航空機が飛んでいる。

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