「子縁」でつながる秋津地域のお父さん 

2014年10月15日

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岸 裕司 (きし・ゆうじ)

秋津コミュニティ顧問

1952年東京生まれ。広告・デザイン会社の(株)パンゲア代表取締役、習志野市立秋津小学校PTA会長時に秋津コミュニティ創設、会長を経て現在顧問兼秋津小学校コミュニティルーム運営委員会顧問。文部科学省委嘱コミュニティ・スクール推進員、学校と地域の融合教育研究会副会長、埼玉大学・日本大学非常勤講師、ほか。著書に『「地域暮らし」宣言』『学校を基地にお父さんのまちづくり』(ともに太郎次郎社エディタス)、『学校開放でまち育て』(学芸出版社)など。

 秋の夜長、今回は「リーン、リーン」と鳴くスズムシのお話です。

 ピンポ~ン! と、秋津に一人で住むおばあちゃん宅の呼び鈴が鳴りました。おばあちゃんがドアののぞき窓から見ると、小さな男の子がいます。おばあちゃんは笑顔になり、すぐにドアを開けました。

 「おばあちゃん、ボクのスズムシ、元気ですか!?」と男の子は勢い込んで言います。

 「はい、〇くんが届けてくれたスズムシちゃん、元気にしてますよ!」と、おばあちゃんは言いながら〇くんを呼び入れました。

スズムシを飼い育てる秋津小学校2年生たち

 秋津小学校では、2年生になると「スズムシを飼い育てる授業」を行っています。そして、子どもたちは鳴き始めた雄雌つがいのスズムシを、事前に飼いたいと希望されたお年寄り宅や近所の特別支援学校のお友だちらへ、民生児童委員の方々とともに夏休み前にお届けします。

 すると、長~い夏休みには、○くんのように自分が育てて届けたスズムシが心配になり訪ねる子もいます。

 「スズムシちゃん、毎日ナスやキュウリをとりかえて、大切に育てていますよ」と、おばあちゃんはゆっくりと〇くんに優しい笑顔で言いました。

 「うん!」と○くんは、安心して元気におばあちゃんに返しました。

 で、子どもが育てたスズムシを心配してお年寄り宅をおたずねするこの行為は、お年寄りの安否確認になり、かつ安全で安心して暮らせる秋津のまち育ての価値として、今では大切な伝統になっています。

引き継がれる「スズムシ授業」

 秋津小学校のスズムシを飼い育てる授業が始まったのは、1997年に加藤稔先生が教務主任として赴任してきた年からです。加藤先生は持ち前の笑顔と親しみやすさから、子どもや親たちからもすぐに「カトちゃん」との愛称で呼ばれるようになりました。

 で、カトちゃんがどこかからいただいてきたスズムシは、新教科として導入された生活科の単元である「生き物を飼い育てる命の授業」として2年生が開始しました。

 そしてカトちゃんは、千葉県での同じ学校に勤める先生としては最長の7年間秋津小学校に在職しました。で、2004年度に教頭さんに栄転し、市内のほかの小学校に異動することになりました。

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