WEDGE REPORT

2014年10月23日

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隆盛を誇る中国の原子力業界(参考:「原発建設計画270基超 日本を凌駕する中国の原子力に依存する日」)とは対照的に、日本は福島第一原発事故後、停滞を続ける。原子力エンジニアの本音から垣間見える日本の未来は決して明るいものではない─。

 「地震発生、地震発生」。原子炉は自動的に停止したものの、鉄塔が倒れて外部電源を喪失。非常用ディーゼル発電機が起動するも津波により発電機能を失う。運転員はポケットから懐中電灯を取り出して計器類を照らし、必死に復旧作業に立ち向かう─。

福島第二原発敷地内にあるシュミレータ室で行われた訓練。東日本大震災時と類似する想定で行われた

 上の写真は福島第二原発を訪れた際に見た、シミュレーション訓練の様子を捉えたものである。緊張感溢れる訓練だったが、福島第二原発は、このまま廃炉となる可能性が高い。先の見通しがつかない訓練に、運転員のモチベーションが気になった。東京電力は「福島第二原発の今後については未定です」と説明する。

日本人エンジニアの悲痛な叫び

 「事故前だったら一切考えなかったですが、今だったら……正直悩みますね……」

 つい最近まで東京電力に勤めていた原子力エンジニアに対して、「中国からオファーがあったらどうしますか?」という質問を投げかけたところ、先の答えが返ってきた。「あれだけの規模で建設や研究開発を進めていることは魅力です。日本にいて、この先自分の人生を廃炉に捧げていくのかと思うと、それはやはりやりたいことと違うと思い、退職を決意しました」。

 聞けば発電事業に携わり、世の中に貢献したかったのだという。彼は原子力とは無縁の業界に転職した。

 今、こうしたエンジニアが後を絶たない。「最盛期は月に1回ぐらいの割合で送別会をしていましたね。次は誰が辞めるのだろうと思いながら……」。転職しやすい若い世代は、よりその動きが顕著である。「同期の原子力エンジニアの過半が退社を決意し、原子力とは無縁の仕事に就いています」。

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