オバマ政権とブッシュ政権で、それぞれ政策担当国防次官を務めたフロノイとエーデルマンが、9月19日付ワシントン・ポスト紙掲載の論説で、世界中で起こっている様々な安全保障上の問題に対し、米国が行動をとれるようにするには、予算上の救済措置が必要である、と述べています。
すなわち、「イスラム国」の台頭、ロシアのウクライナ侵攻、ハマス・イスラエル間の戦争、リビアにおける暴力や空爆、緊張の続く朝鮮半島や東・南シナ海、この夏に生じた、これらの劇的な出来事は、米国が第二次世界大戦以来、最も複雑で危険な安全保障環境に直面していることを再認識させることになった。
米国の安全保障や繁栄、ルールを基盤とする国際秩序を維持するため、引き続き米国のリーダーシップが求められている。しかし、ますます危険になる世界において、潜在的な侵略者を抑止し、同盟国に安心を与え、現在ないし将来の大統領が人々の求めに応じられる強力かつ即応性のある軍を有しているかどうかについては、あまり注意が払われていない。
超党派委員会である国防諮問委員会(National Defense Panel)による報告は、2011年の予算管理法(Budget Control Act)と国防予算の強制削減について、国防省のリーダーシップを危険なまでに拘束する深刻な戦略的過ちである、と断じた。同報告は、予算的救済措置がなければ、米軍は近い将来、国防戦略を完遂できなくなる高いリスクを負うことになる、と結論づけている。
予算管理法と強制削減は、既に、米軍の即応性を危機に晒している。危機に即応できる陸軍旅団は一握りしかおらず、空軍パイロットは技能を維持するための飛行時間を十分に確保できていない。海軍艦船は、重要な地域に米国の安全保障プレゼンスを提供できなくなっている。昨年の議会で行われた予算合意によって、現在は、暫定的な救済措置がとられているが、2016会計年度に強制削減が再発動されれば、米軍は1970年代後半を彷彿とさせる「空洞化した軍」となろう。
国防諮問委員会が提案しているのは、議会と大統領は、予算管理法を撤回することによって強制削減を終わらせ、2011年にゲーツ国防長官が提唱していたレベルの国防予算に戻すべき、ということだ。