2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年11月26日

 米AEIのイーグレン研究員とモリソン研究助手が、10月21日付 Real Clear Defenseウェブサイト掲載の論説で、中国によるサイバースパイは、米国の軍事技術の優位を深刻に脅かしており、米議会はこの問題にもっと関心を持つべきである、と警告しています。

 すなわち、10月初め、J.P. Morganへのサイバー攻撃が全米の耳目を集めたが、多くのアメリカ人は、米軍の最先端の武器システムに対する、定期的で洗練されたサイバー窃取について、多くを知らない。中国政府の支援を受けたハッカーグループによるサイバー犯罪は、FBIが警告していたレベルまで達している。5月には、司法省が、5人の人民解放軍将校を産業スパイ容疑で起訴した。

 中国の組織的なサイバースパイは、米国の国家安全保障に深刻なダメージを与えているが、議会はほとんど役に立つことをしていないように見える。

 しかし、国防総省はこうした窃取に懸念を持っており、議会も真剣な関心を払い始めるべきである。昨年、ワシントン・ポスト紙が報じた、中国のハッカーが二十数件を超える米軍の武器システムの設計に危険を与えたとする国防総省の機密報告によれば、被害を受けたプログラムの中には、F-35を含む、現在の米軍の優位にとり極めて重要な武器が含まれていた。

 中国が軍事的近代化を続けるに従い、ペンタゴンの当局者は、米国の軍事技術の優位が危機に瀕していると、より強く警告している。調達・技術・兵站担当のFrank Kendall国防次官は、「米軍の技術的優位は、アジア太平洋地域で、この数十年で最大の挑戦を受けている。技術的優位は、もはや確実なものではない。これは、将来の問題ではなく、眼前の問題である」と言っている。

 ペンタゴンの多くの指導者は、先を見据えた、画期的な技術と能力の開発に対して投資してきた。しかし、中国は、米軍が中国との競争で優位を維持するために依存している多くの次世代技術を、サイバースパイにより危機に陥れている。

 これが東アジアの安全保障に与える結果は、明白であろう。中国が米軍の最先端の能力によりよく対応できるようになればなるほど、中国が、地域において、攻撃や威圧に乗り出すハードルは低くなる。将来の中国のサイバー窃取を抑止する必要性がある。今の傾向が続けば、サイバー窃取は米軍の技術的優位の凋落を加速させる一方であり、米兵士の生命をより危険に晒すことになる。

 さらなるサイバー窃取が、米国の技術的優位を支える機密をほとんど残らず暴露してしまう前に、中国のサイバースパイへの対処を、行政府と議会の最優先課題にしなければならない、と述べています。

出典:Mackenzie Eaglen&Charles Morrison, ‘It's Time to Wake Up: Chinese Hacking Is Eroding U.S. Military Superiorit’(Real Clear Defense, October 21,2014)
http://www.realcleardefense.com/articles/2014/10/21/time_to_wake_up_chinese_hacking_is_eroding_us_military_superiority_107505.html

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 イーグレンは、米国の安全保障政策について、特に、予算、技術の面から精力的に研究している研究者です。モリソンは、おそらく彼女の下で研鑽を積んでいるのでしょう。


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