日本の漁業は崖っぷち

2014年12月2日

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片野 歩 (かたの・あゆむ)

水産会社 海外担当

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『魚はどこに消えた?』(ウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

 本コラム「日本の水産業は崖っぷち」の開始から2年半が経過しました。この間にも水産資源は減少し続け、今年の6月にはウナギが、そして11月17日には太平洋クロマグロが、国際資源保護連合(IUCN)により、絶滅危惧種(「レッドリスト」)に指定されました。「崖っぷち」の資源予備軍は、まだまだあります。

サバを主体とする水揚げで発展を続けるノルウェーの水産都市オーレスンド

 皮肉にも、日本が漁業の主体である太平洋クロマグロの親魚資源量は、歴史的低位置付近という深刻な減少を続ける一方で、大西洋クロマグロは資源が増加中。同じマグロなのに、なぜでしょうか。太平洋と大西洋で何か違うことが起こっているのか、というとそうではありません。これは環境の変化の問題ではなく、「人災」と言える結果です。魚を一網打尽にする大型巻き網船が問題かと言えば、それも違います。ノルウェーをはじめとする北欧では巨大な巻き網船の建造が進んでいます。それなのに水産資源は安定し、地方の水産都市は栄え(写真)、漁業は成長産業になっています。

 問題の本質は、船の大きさや漁法ではなく、科学的な根拠を基に資源管理を行ってきたかどうかにあるのです。世界と比べると日本の漁業は色々な問題が浮き彫りになります。この連載では、これからも皆さんにあまり知られていない、世界からの正しい情報をお伝えすることによって、問題の本質を明確にし、日本の取るべき方策を共有していきたいと考えています。

加工処理能力を超えて大量に水揚げ

「小サバ」や「赤ちゃんサバ」と呼ぶべきではないだろうか
http://www.suisannet.com/
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 日本で一番水揚量が多いのはサバ類です。2013年までの過去10年で、年間平均約50万トンあり、日本の総漁獲の約1割を占めています。現在八戸~銚子にかけて大量のサバが水揚げされています。今年は、漁獲枠(TAC)が昨年の70万トンから90万トンに増加。水揚げ増が予想されています。実際、11月17日には約7000トン、11月21日には約9000トンという大漁水揚げがありました。しかし、一見大漁であっても、現在の漁獲状況には、科学的根拠に基づいた個別割当制度が適用されていません。このため、八戸、石巻、銚子他、かつてサバの水揚げで、その関連業種とともに栄えた地域の資源回復と地方創生の機会を台無しにしてしまっているのです。

 マサバの資源が増えている原因は、震災に関連すると考えられます。2011年3月に東日本大震災がありました。マサバの産卵は3~6月頃です(第20回参照)。この時期に漁獲を逃れたサバが大量に産卵。その時に卵からかえったサバが2013年春に大量に産卵したと考えられています(マサバは2年で約50%が成熟)。現在1歳魚の資源量が多いこととも一致します。その小サバが「ジャミジャミ」であったり、「ジャミポロ」(画像)と表現されたりしているのです。

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