WEDGE REPORT

2009年7月21日

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 日本のお家芸と誰しもが思うロボット開発。だが、実社会での実用化という面では、海外に大きく水をあけられている。たとえば、手術支援ロボットの「ダビンチ」。これは、ロボットアームを駆使して遠隔操作により外科手術ができるというもので2008年6月現在、全世界で1000台以上が稼働している。

地雷探知技術を応用して開発された「ルンバ」

 もう一つはお掃除ロボットの「ルンバ」。ボタンを押すだけで部屋中を掃除して回り、部屋の形状や汚れ具合などを総合的に判断し清掃時間を計算する。02年に販売され、全世界で300万台以上が売れている。

 実はこの2つのロボットはインテゥイティブ社、アイロボット社と、どちらも米国企業が開発したもの。日本企業の名前がないことを意外に思う読者もいるだろう。

 当然、日本企業にも技術力はある。周知のとおり産業用ロボットでは世界シェアの約70%を握り、得意とする人型ロボットでは、富士通が開発したenonがイオンの一部店舗に導入されるなどの実績はあるが、「開発費が高く、回収が難しい」(富士通研究所顧問の内山隆氏)など本格的な事業化には程遠い状況だ。

 少子高齢化が進む日本を筆頭に、世界レベルで医療・福祉分野の生活支援ロボットの需要拡大が見込まれている。国内ではマーケットが存在しない現状から20年には1.7兆円へと市場規模拡大が見込まれ、経済産業省も生活支援ロボットを自動車、家電に次ぐ第3の基幹産業に育成しようとしている。なぜ、実用化で日本は世界に立ち遅れているのか。

法体制が壁となる医療ロボット

 法体制の整備、企業が持つ安全の自主基準、国としての開発体制。この3つが、世界に比べ生活支援ロボットの実用化で日本が劣る原因となっているといってよさそうだ。

 法体制の整備に関しては、実社会で人間とロボットが共存するための保険制度やロボットを使用するための資格制度の制定など、先々の法体制の整備が求められる。だが、特に治療機器ロボットの開発には「薬事法」の壁が立ちはだかる。

 「内視鏡の先端に治療ロボットを装着し、皮膚の切開手術なしで直接患部を除去するNOTES(経管腔的内視鏡手術)やドラッグデリバリーシステムといった次世代治療法など、日本は医療とロボットを融合させた手術機器開発で世界をリードしているが、実際の治療機器の製品化に至らない」

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