日米ガイドライン改定
まず安保法制の整備を


小谷哲男 (こたに・てつお)  日本国際問題研究所 主任研究員

1973年生まれ。同志社大学大学院法学研究科博士課程満期退学。ヴァンダービルト大学日米関係協力センター客員研究員、岡崎研究所特別研究員等を歴任。専門は日米同盟と海洋安全保障。法政大学非常勤講師及び平和・安全保障研究所・安全保障研究所研究委員を兼務。中公新書より海洋安全保障に関する処女作を出版準備中。

安保激変

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2014年内に完了する予定であった「日米防衛協力のための指針」見直しが難航している。集団的自衛権の限定行使を含む憲法解釈の変更をより有用なものにするために、安保法制の整備を急ぐべきだ。

 日米防衛協力の適切な役割分担を定める「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」は、年内にその改定作業が完了する予定であったが、2015年5月頃まで先送りとなった。ガイドラインの改定は、13年10月の「2+2」日米安全保障協議委員会(SCC)会合で両国の外交・防衛担当閣僚の間で合意され、14年10月には事務レベルの日米防衛協力小委員会(SDC)が行ってきた検討作業の中間報告が発表されている。

 改定が15年春まで延期となる背景には、衆議院の解散・総選挙や、C・ヘーゲル米国防長官の事実上の更迭、APECでの日中首脳会談の実現、そして4月の統一地方選挙が挙げられる。だが、より直接的な理由は7月1日の閣議決定に基づく安全保障法制の整備作業が難航していることである。

 ガイドラインはいずれの政府にも立法上、予算上、または行政上の措置を義務づける性格のものではないが、今回の改定作業では、集団的自衛権の限定行使を含む憲法解釈の変更が閣議決定されたことを日米防衛協力に反映させることが期待されている。だが、安保法制の見直しは、自衛隊法だけでなく、周辺事態安全確保法、国際平和協力法、テロ対策特別措置法、警察官職務執行法、海上保安庁法などを含む大がかりなものになる。

 これだけの作業を限られた期間で行うのは容易ではない上に、特に集団的自衛権の限定行使については世論の支持も未だ十分とはいえない。そして、安保法制関連法案を政府がとりまとめても、自衛隊の任務の拡大に積極的な自民党と慎重な公明党で行われる与党協議は難航が予想される。

カリフォルニアで行われた、離島奪還を想定した日米共同訓練(JIJI)

 安保法制関連法案の審議開始は来年の通常国会で予算が成立し、統一地方選挙が終わる5月頃となる見込みである。1997年のガイドライン改定時は周辺事態法など関連法が後にできあがったが、今回はガイドライン改定と関連法案の審議を並行して行うことになる。

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「安保激変」

著者

小谷哲男(こたに・てつお)

日本国際問題研究所 主任研究員

1973年生まれ。同志社大学大学院法学研究科博士課程満期退学。ヴァンダービルト大学日米関係協力センター客員研究員、岡崎研究所特別研究員等を歴任。専門は日米同盟と海洋安全保障。法政大学非常勤講師及び平和・安全保障研究所・安全保障研究所研究委員を兼務。中公新書より海洋安全保障に関する処女作を出版準備中。

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