WEDGE REPORT

2009年7月27日

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 政府発表などにおいて、景気の底打ちを探る論調をよく見かけます。しかし、中小企業を訪ね歩くと、悲鳴ばかりが聞こえてきます。 特に悲惨なのは、輸出型製造業の下請けとなっている企業群で、受注がリーマンショック前に比べ、6~7割落ち込んだという話は珍しくありません。回復しつつある企業でも、昨年比3~4割減レベルという例が多いです。

工作機器の製造販売会社コトブキ(東京都大田区)が展開する「中古や」。不況が深刻化するなか、「引き取りの依頼が増えた」(馬場均社長)。

 日本の中小企業の経営者が偉いのは、そんな状況でも雇用だけはなんとか守ろうとする人が多いことです。休日を増やし、政府から人件費の援助を受ける雇用調整助成金制度は幅広く使われ、麻生政権の数次にわたる経済対策で打ち出された緊急保証や緊急融資についても、実態としては雇用維持の資金に回しているとの声が多く聞かれました。

 しかし、こういった方策はいずれも一時凌ぎです。売上げの回復がなければ解決には至りません。とはいえ全世界的な大不況で打てる手は限られ、景気回復までの間、どうやれば企業の延命を図ることができるかという知恵が求められています。

成果をあげる板橋区の支援チーム

 中小企業の経営者に共通する悩みは、「経営者の悩みを打ち明ける相手がなかなか見つからない」ことです。行政や商工会議所などがこぞって中小企業診断士や公認会計士を集めてサポート事業を展開しているが、「経営をやったことのない人には簡単にはこちらの心情が伝わらない。すぐ相談料の話になって幻滅したこともある」との声も聞かれます。

 そんななか、板橋区の緊急経済対策「経営改善支援チーム」が成果をあげています。昨年12月の発足以来、資金繰りに苦しむ企業29社(6月末)の悩みを受け付け、うち7件で新規融資獲得という成果に至っています。

経営者の相談にのる中嶋修・板橋区立企業活性化センター長

 1件1件、まずは資金繰り表を作成し、現状の問題点を把握し、役員報酬削減など必要なコスト削減や、新たな販路拡大による営業計画などを経営者と一緒になって考えていくというやり方で、どんな経営状況の企業でも支援するというスタンスを掲げています。

 支援チームを運営する板橋区立企業活性化センターの中嶋修センター長は「銀行や国金、信用保証協会に経営者と一緒に何度も足を運ぶ。返済条件の緩和(リスケジュール)、税金延滞、借入金過多のどれかがあると、新たな保証も融資も受けられないのが通常だが、経営者に技術ややる気があり、具体的な経営改善計画を立て、金融機関に足繁く通い、その計画を確実に実施している姿を見せれば、資金獲得につながることも多い」と語ります。

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