世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年2月17日

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 英王立国際問題研究所アソシエイト・フェローのソニア・シーツが、Diplomat誌ウェブサイトに1月14日付けで掲載された論説にて、中国は、戦略的に重要なサイバー空間の問題について、国際規範を単に受け入れる側から作り出す側に回ろうとしているように見える、と指摘しています。

 すなわち、中国は昨年、インターネットのガバナンスの将来に関する議論において、中心的地位を占めようとした。中国は、インターネットはビジネス、市民団体の代表を含む多層の利害関係者によって国際管理されるべきであるとの大方の見解に対し、インターネットは国が規制するという「インターネット主権」を唱道した。

 インターネットの管理は、中国の対テロ外交の重要な焦点としても浮上している。国際的に合意された定義が無い中、中国は、テロを極端に拡大解釈し「社会秩序の混乱の要因」まで含めている。政治的異議申し立てを抑圧するための人権侵害について、西側政府が懸念するのはもっともである。

 インターネット規制の主体を、もっぱら国家に限定する戦略の一部として、中国は、国連において様々な準法律的取り組みを促進しようとしている。王毅外相は、9月に安保理で、サイバー産業への新しい行動規範を求めた。

 中国がインターネットの統治に優先順位を置くのには、国際人権法に基づく中国批判の矛先を鈍らせたいという理由もある。アラブの春以来、中国は、国家安全保障や公的秩序のためには、政府は、言論の自由、プライバシーその他の人権を制限する責任がある、と主張する勢力の指導的存在となっている。

 中国指導部は、明らかに、インターネットが反体制派を動員するのに使われることを恐れており、それがサイバー空間に関する外交の原動力となっているが、中国はそれ以上のことを求めているかもしれない。

 中国の動きは、国際規範を受け入れる側から作り出す側に回りたいという野望を示しているように見える。10月に行われた4中全会で、共産党は、中国はグローバルな規範を形成し、国際法上の問題において発言力と影響力を強化すべきである、と要求している。

 中国は、国家中心のインターネット統治モデルを追求する戦いに勝利し得る、と信じている、と論じています。

出典:Sonya Sceats,‘China’s Cyber Diplomacy: a Taste of Law to Come?’(Diplomat, January 14, 2015)
http://thediplomat.com/2015/01/chinas-cyber-diplomacy-a-taste-of-law-to-come/

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 中国のサイバー空間に対する考え方について、ガバナンス、テロ対策、人権、国際規範形成の観点から概観した論説であり、中国の意図を正確に把握していると言ってよいでしょう。

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