8月13日、画家の熊田千佳慕さんがご逝去されました。現在、銀座松屋で開催中の個展に先立ち、編集部では熊田さんに作品の見どころや絵の話、人生観などを伺っておりました。小さな生命を慈しむように、細い筆で1本1本丹念に描かれた虫や花の絵。その絵と同じように、愛に溢れていた熊田さんのお人柄が偲ばれます。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
今年、数えで99歳を迎えた細密画家・熊田千佳慕さんの白寿記念展が、まもなく始まります。編集部ではこれに先立ち、熊田さんに作品の見どころや絵の話、人生観などを伺いました。小さな生命を慈しむように、細い筆で1本1本丹念に描かれた虫や花の絵。熊田さんのお人柄は、その絵と同じように愛に溢れていました。
――展覧会への思いをお聞かせください。
熊田:今回の展覧会は、私の画家としての集大成ともいえる展覧会です。この歳になるまで絵を描く仕事を続けてこられたのは、ファンの方をはじめ多くの皆様に支えて頂いたお陰だと思っております。できるだけたくさんの方にご来場頂き、感謝の気持ち、恩返しの気持ちをお伝えできたらと思っております。
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――展示作品の中で、特に気に入られている作品と見どころを教えてください。
熊田:お気に入りの作品を数点選ぶというのはとても難しいですね。どの作品もそのときもっている力のすべてを注いで描いた作品ばかりですから。
「どれかひとつを」と言うことでしたら…。自分がやっている仕事の意味を深く理解し、これから進むべき道に確信をもつことができるようになった記念碑的な作品を一点あげてみたいと思います。“『ファーブル昆虫記』の虫たち”のなかに出てくる「天敵」という作品です。
「天敵」*写真の無断転載を禁じます