世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年4月29日

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 フォーリン・ポリシー誌のドレーゼン編集員が、3月27日付ワシントン・ポスト紙掲載の論説にて、中東の冷戦(サウジアラビアとイランの対立)は熱い戦争になるかもしれないと述べ、その観点からイエメンなどの情勢を分析しています。

 すなわち、サウジはイエメンの親イラン勢力の空爆に乗り出した。イラクではイランとサウジがそれぞれ支援する勢力が戦っている。この歴史的な敵対関係はオバマ政権にとって新たな危機になりつつある。

 スンニーの大国サウジアラビアとシーアの大国イランは、過去何十年に亘り、武器や財政支援を通じ、静かに勢力拡大を図ってきた。しかしイエメン空爆によって対立は白日のものとなり、直接の戦闘に発展するかもしれない。

 ハディ・イエメン大統領はサウジに支持され、反大統領派のホーシー派はイランの直接支援を受けている。空爆は武器保管施設などイエメンでのイランの拠点を標的にしており、イラン人に犠牲が出るかもしれない。

 代理戦争は既に進行している。シリアのアサド大統領は、金と武器を通じてイランと近い同盟関係にあるほか、レバノンのヒズボラからは諜報や戦闘支援を受けている。他方、サウジは反アサド勢力を支援している。外部からの支援が内戦を一層悪化させている。

 イランの支援により、ヒズボラはレバノン最大の戦闘集団になり、イスラエルに対抗できる力を持つようになっているばかりでなく、強力な政党にもなっている。他方、サウジは、レバノン国軍を支援すべく、昨年、30億ドルの無償援助をする旨発表した。バーレーンでは、イランが少数シーア派を通じて王政打倒を狙っている。

 サウジ指導部は、イラクやイエメンを見て、イランに対して劣勢になっていることを懸念している。サウジは、オバマの対イラン核交渉は歴史的な間違いだとして、懸念を持っており、イランの核に対抗するため、自らの核保有を仄めかしている。サウジは、幅広いスンニー派アラブ有志連合(エジプトやヨルダンなど)を結成し、対イエメン作戦を行っている。作戦は長期化するかもしれない。

 サウジとイランが一致するのは、イエメンにいるアラビア半島アルカイダ(AQAP)撲滅の点だけだ。AQAPはサウジの他ホーシー派も攻撃している。AQAPは、2009年にナイエフ現内相を狙った爆破未遂事件を起こしており、サウジアラビアの指導部にとっては個人的な敵でもある、と述べています。

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