世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年2月25日

 サウジのアブドラ国王の逝去とサルマン新国王の就任について、世界のメディアが、アブドラ国王の業績を評価するとともに、今後のサウジがどうなるかを論じています。そのうち、1月23日付の米ワシントン・ポスト紙および英フィナンシャル・タイムズ紙の社説を紹介します。

 米ワシントン・ポスト紙は、「サウジの新指導部とともに、新しい挑戦が始まる」とします。

 すなわち、アブドラ国王は穏健で専制王政を近代化しようとした。彼はイスラム過激主義に反対し、教育に投資をし、米国との関係を良好に保ち、イラン拡張主義をけん制し、イスラエルとの和平計画を提案した。

 しかし、国王の死の発表と同時に、イエメンでのイラン支持反政府派による政府転覆と、宗教当局を批判したサウジのブロガーへのむち打ち刑が世界の批判を受けたことは示唆的である。アブドラ国王は、サウジの影響力の減退を防止しえず、インターネット世代の若いサウジ人(人口の46%は25歳以下)にうまく対処できなかった。

 サルマン新国王は79歳で、認知症気味とされる。しかし、新政権は安定性と継続性の強いメッセージをすぐに出した。皇太子にムクリン王子(69歳)を、モハメッド・ナエフ内相(55歳)を副皇太子に任命した。ナエフは王位継承に関係するサウジ王政の創設者の初めての孫である。

 サウジが21世紀に生き残るためには、改革のペースを速めるべきである。今は宗派戦争、テロなど諸問題のある地域でサウジは相対的に安定したところである。しかし、今の混乱はいずれ新秩序を生み出すだろう。それは、チュニジアの新民主主義に近いものになる可能性が大である。石油に頼り、女性に運転を禁じ、リベラル・ブロガーを鞭打つ国は長期的に安定しない。

 オバマ政権はサウジの改革のためにほとんど何もしてこなかった。サウジが米国の同盟国であるのなら、米国はサウジの指導者に政治改革を奨励し始めるべきである、と論じています。

 英フィナンシャル・タイムズ紙は、「新国王は多大な挑戦に直面する」としています。

 すなわち、91歳のアブドラ国王の死去は予想できたが、中東の混乱のなか、重要なことである。サウジはイスラムの2聖地の守護者、世界最大の産油国、スンニ派のリーダーである。アブドラ国王は慎重な改革者であったが、新国王(79歳)は大きな課題に直面する。

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