安保激変

2015年5月1日

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小谷哲男 (こたに・てつお)

日本国際問題研究所 主任研究員

1973年生まれ。同志社大学大学院法学研究科博士課程満期退学。ヴァンダービルト大学日米関係協力センター客員研究員、岡崎研究所特別研究員等を歴任。専門は日米同盟と海洋安全保障。法政大学非常勤講師及び平和・安全保障研究所・安全保障研究所研究委員を兼務。中公新書より海洋安全保障に関する処女作を出版準備中。

 4月28日、日米安全保障協議委員会(「2+2」閣僚会合)がニューヨークで開かれ、新しい「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)が発表された。1997年のガイドライン改定の後、日本を取り巻く安全保障環境が大きく様変わりし、日米同盟にも変化が求められた結果である。前回の改定では朝鮮半島有事における日米協力が主な課題であったが、今回の再改定は中国が東シナ海と南シナ海で繰り返す現状変更への対応が中心的課題である。 

日米2プラス2。防衛指針改定で合意
(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 新しいガイドラインのポイントは、自衛隊と米軍の運用の一体化が地理的制約なしに飛躍的に高まり、しかも常設される調整メカニズムによって、情報と情勢認識の共有と部隊運用の調整が平時から有事まで常に行われることである。このガイドラインによって、日米はより効果的に中国の挑戦に対応することができることになる。

グレーゾーン事態への効果的な対処

 中国は軍拡を続けているが、日米の軍事力に対抗できるだけの力がないことを理解している。このため、武力攻撃に至らないグレーゾーンで自らの政治的目的の達成を目指している。東シナ海や南シナ海などで中国が漁船や政府公船を他国の管轄海域に送り込んでいるのは、軍艦を使えば周辺国の自衛権発動につながるだけでなく、米軍が介入してくることを恐れているからである。

 中国のグレーゾーンでの挑戦の特徴は、相手国の管轄権を先に侵害し、相手国が過剰反応したところで、国際社会に向けて挑発してきたのは相手側だと喧伝しながら、さらに強硬なやり方で管轄権を奪う点にある。2012年に中国はこのやり方でフィリピンからスカボロー礁を奪っている。同年9月に日本政府が尖閣諸島を購入した際も、現状変更をしたのは日本政府だと非難し、領海侵入を常態化させている。アメリカはどちらの事例でも、フィリピンと日本が過剰反応しているのではないかと警戒し、同盟国であるフィリピンや日本に十分な外交上の支持を示さなかった。

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