イノベーションの風を読む

2015年6月11日

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川手恭輔 (かわて・きょうすけ)

コンセプトデザイン・サイエンティスト

1990年代から、大手メーカーでインターネットサービスの企画・開発・運用を手がけ、自ら立案したグローバルなサービスを複数立ち上げた経験を持つ。その1つは、サービスのデザインでグッドデザイン賞を受賞した。コンピューターサイエンス関連の翻訳本も多数ある。

 5月末から6月にかけてGoogle I/OとWWDC(Worldwide Developer Conference)という、それぞれGoogleとAppleの開発者向けのイベントが相次いで行われた。

Google I/Oで発表するグーグルフォトの責任者 Anil Sabharwal氏(AP/Aflo)

 いずれもサンフランシスコ市内中心部にあるモスコー二センターのモスコーニ・ウェストを会場にしているが、例年と違ってGoogle I/OがWWDCに先んじて開催された。モバイル・クラウド時代の2大企業がまさに火花を散らすイベントには、開発者のみならず世界中の注目が集まる。

 開発者向けとはいえ、これまで一般のスマートフォンのユーザーがすぐに利用できる新しい製品やサービスが必ず発表されてきた。今回は、それぞれGoogleフォトと、Appleミュージックが大きな話題を呼んだ。いずれも日本の産業に大きなインパクトを与えることが予想されるサービスだが、今回はGoogleフォトに注目してみた。

モバイル・クラウド時代に
ハードはソフトになる

 音楽や写真や本や映像やゲームなどのコンテンツ、そしてコミュニケーションの音声や文字などのデータがデジタル化され、それを記録し、伝達し、保管し、表示するためのメディア(媒体)が変化することによって、関連する製品やサービスの市場にイノベーションが起こる。デジタル化によって、アナログのレコードがCDになった。次にiPodが出現して、音楽はインターネットで購入してパソコンにダウンロードするものになった。そしてWalkmanに取って代わったはずのiPodが、iPhoneの「ミュージック」という形のないソフトウェアになってしまった。

 モバイル・クラウド時代の現在、人々は手の中のスマートフォンからいつでもどこからでもクラウドにアクセスして、世界中のデータやコンテンツを利用し、誰とでもコミュニケーションをすることができるようになった。スマートフォンは常に人々の側にあり、そしてインターネットに繋がっている。そのアドバンテージによって、音楽プレーヤーやカメラや電子書籍リーダーなどのハードが、スマートフォンに飲み込まれてソフトになってしまった。もはや人々は、インターネットに繋がっていないもう一つのハードを持ち歩く必要性を感じなくなった。

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