報道にはすべて裏がある

2015年8月21日

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 この原稿を沖縄で書いている。沖縄に来るたびに思うことは、地元紙である『琉球新報』と『沖縄タイムス』の特異な報道ぶりに対する違和感である。両紙そろって反基地一色の紙面には、同じマスコミの人間ながら、よくこれで読者を維持できるなと思ってしまう。昨年11月に行われた県知事選は、米軍普天間飛行場の辺野古移設の是非が最大の争点であったとされるが、反対を主張した翁長雄志氏は当選こそしたものの、その得票率は51%台にとどまる。

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 かろうじて過半数を超えただけだ。一方、地元の二つの新聞の県内におけるシェアは90%を超える。地元記者によると、翁長氏と知事選を争った仲井真弘多前知事の支持層を中心に両紙の購読を取り止める読者が後を絶たないという。インターネットの普及による紙媒体の衰退というだけでは説明がつかないのではないか。

「本当に沖縄の二つの新聞社は絶対つぶさなあかん。沖縄県人がどう目を覚ますか。あってはいけないことだが、沖縄のどっかの島でも中国にとられてしまえば目を覚ますはずだ」

 6月に自民党本部で開かれた若手議員の勉強会「文化芸術懇話会」で、講師として呼ばれた作家の百田尚樹氏の発言に出席した議員が同調したことで、自民党のおごりだと大批判を受けたことはまだ記憶に新しいだろう。

沖縄の両紙の報道姿勢に問題はないのか?

 もとより、自分の主張に合わないからと言って新聞社をつぶせとの主張はあまりにも乱暴で、筆者も到底賛成できるものではない。ただ、沖縄の両紙の報道に問題が多いというのは事実だ。例を挙げてみよう。まず、一方的な米軍=悪者論だ。二紙は米軍人が交通事故を起こすと、些細な接触事故でも大々的に報じる。在沖米軍は1995年に沖縄本島北部で起きた少女暴行事件で県民の反基地感情が爆発したことを受けて『良き隣人政策』を取り、夜間の外出規制など犯罪の抑止に躍起となっているが、そうした事実はほとんど報道されることがない。また、米軍の“美談”も決して報じられない。

 2011年に発生した東日本大震災では、在日米軍による大規模な救援活動「トモダチ作戦」が展開され、東北の被災者に感謝されたことは多くの国民が知っていることだ。ところが、この活動には在沖海兵隊からもヘリ部隊を急派したが、これをくさしたのが沖縄の両紙だ。

 11年3月17日付『琉球新報』は、「在沖海兵隊が震災支援 普天間の有用性強調 県内移設理解狙い 不謹慎批判上がる」との見出しで、米軍が救援活動により普天間飛行場の地理的優位性や在沖海兵隊の存在意義などをアピールしており、<「政治宣伝のために支援していると言っているようなもので、不謹慎」との批判が上がっている>とするのだ。

 米軍当局が救援活動の宣伝をしていた事実もあるだろう。だとしても活動は実際に行われたのであり、これに感謝する被災者の声を伝えるのがフェアだというものだが、両紙にはそうした報道は見当たらない。

 基地建設に向けた作業が進められる名護市辺野古での抗議活動をめぐる報道も異様だと言わざるを得ない。反対派グループは、現場に近い米軍キャンプ・シュワブのゲート前で連日のように工事関係者の出入りに立ちはだかったり、沖合で進むボーリング調査を妨害するために制限区域内にカヌーで侵入しようしたりする。むろん違法行為であるが、両紙は、こうした活動を毎日のように社会面で紹介。これらの活動を取り締まる県警や海上保安庁のことを“過剰警備”と攻撃する。

 あまりの批判ぶりに海上保安庁の佐藤雄二長官は、5月20日の記者会見で、「私が知る限りでは、現場の対応というのは非常に冷静にかつ丁寧にやっている。現地での報道ぶりが非常に事実関係より、誇張されている部分があると感じている」と述べて反論したのだが、両紙が黙って引き下がるわけがない。

 <記者が得た情報は、関係者に聞き取るほか、写真や動画を検証して確認できた事実を正確に記事にしており、海保が主張する「誤報」「誇張」は当たらないことを強調しておきたい>(5月22日付『沖縄タイムス』社説)。

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