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2015年8月21日

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朝野賢司 (あさの・けんじ)

一橋大学特任講師

1974年福岡県生まれ。京都大学大学院にて地球環境学博士号を取得。産業技術総
合研究所バイオマス研究センター特別研究員を経て、2007年より電力中央研究所
社会経済研究所主任研究員。2015年4月より現職(兼任)。著書に『再生可能エネルギー政策論 買収制度の落とし穴』(エネルギーフォーラム社刊)など。

 固定価格買取制度(FIT)が、2012年7月から実施され3年が経過した。FITとは、再生可能エネルギー(以下再エネ)による電力供給を、20年間等の長期に「固定」した価格で、政府が電力会社に買い取りを義務づけるものだ。電気料金に加算される賦課金は、買取総額から、電力会社がFIT買い取りで免れることができる燃料費等の回避可能費用を減じて算出される。

 長期エネルギー需給見通しで示された「2030年再エネ比率22~24%」となる場合、その年間買取総額は今年度1.8兆円から、30年には約2倍以上である3.7~4兆円に達する(図)。これほどの負担はドイツを除き、世界でも例がない規模である。

膨張するFIT賦課金買取期間の総額は50兆円超に
(出所)著者作成
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 買取総額から回避可能費用を減じて算定される賦課金は、電力消費量当たりの単価で今年度1.5円(標準世帯478円/月・世帯)、30年には2.6円~3円程度(同約800~900円)とされる。FIT法原案の国会審議で民主党政権は「0.5円(同150円)を超えない負担額」としていたが、今年度既にその3倍であり、30年には6倍に達することを意味する。

 買取期間は20年間等の長期に及ぶため、賦課金総額は50兆円を超える。国民一人あたり約40万円の「負債」であり、実質的には消費税が1%上がるのと同じで、「電力消費税」である。

 長期エネ需給見通しを受けて、現在、総合資源エネルギー調査会新エネルギー小委員会(新エネ小委)では、負担と導入量のバランス等を論点として、FIT見直しの議論が始まっている。

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