欧州難民で密航業者が急成長
悲劇に咲いた“あだ花”


佐々木伸 (ささき・しん)  星槎大学客員教授

共同通信社客員論説委員。ベイルートやカイロ支局長を経て外信部副部長、ニュースセンター長、編集局長などを歴任。

WEDGE REPORT

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欧州連合(EU)が第2次世界大戦以来、最大の難民の流入に直面する中、中東や北アフリカから難民を運ぶ密航業者が急成長、今や数十億ドルのビジネスにまで膨れ上がっている。悲劇に咲いた“あだ花”とも言えるが、身ぐるみはがされる難民たちも後を絶たない。

画像:iStock Editorial

2つのルート

 EUへの“難民襲来”の現実が国際的な注目を浴びるところとなったのは、先月末、オーストリア東部で保冷車から71人の難民の遺体が見つかった事件からだ。この時点で、難民問題をめぐるEU各国の対応は混乱を極め手の施しようのない状況にまでエスカレートしていた。

 国連の発表によると、今年になって紛争の続くシリアやアフガニスタン、北アフリカから欧州に脱出してきた難民は、8月末の時点で30万人を超えた。昨年1年間の約22万人をはるかに超え、100万人に達するのも近いという懸念が現実味を帯びてきている。 

 難民は2つのルートでやってくる。第1ルートはトルコから小さなボートに乗ってギリシャに入る経路、第2ルートは北アフリカのリビアから船で地中海を渡ってイタリアに到達する経路だ。第1ルートの難民はシリア内戦から国を脱出してきたシリア人が主流だが、遠くアフガニスタンから逃げてきた難民もいる。

 第2ルートの難民はソマリアやエチオピア、北アフリカ諸国出身の人たちで、リビアの密航業者に虎の子のカネを払って老朽船にすし詰めの状態で荒波の地中海をやってくる。しかし定員オーバーもあって転覆する船も多く、今年だけで2600人を超える難民が犠牲になった。

 今最大の問題になっているのは、シリア人難民で、ほとんど全員が経済的に裕福で、働くチャンスが多く、難民政策に優しいドイツないしはスウェーデンを目指す。彼らはまず、トルコの海岸から密航業者の小さなボートでギリシャに入り、その後バルカン諸国のマケドニア、セルビア、そしてハンガリー、オーストリア経由で最終地ドイツまで行く。1600キロを超える旅だ。

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佐々木伸(ささき・しん)

星槎大学客員教授

共同通信社客員論説委員。ベイルートやカイロ支局長を経て外信部副部長、ニュースセンター長、編集局長などを歴任。

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