世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年9月24日

 米国が訓練したシリア反政府勢力の失敗について、米ワシントン・ポスト紙のイグネイシャスが、8月20日付の同紙にて、米国はもっと首尾一貫したシリア戦略を持つべきだとオバマ政権を批判しています。

画像:iStock

 すなわち、7月、米特殊部隊が訓練装備した「第30師団」と呼ばれるシリア穏健反政府勢力は、シリアで無様な失敗をおかした。今回の失敗には明白な、懸念される教訓がある。反政府勢力には充分な準備がなく、また敵対勢力に関する諜報も不十分だった。米国はトルコに頼り切りで、攻撃を受けた際の対応についても明確な計画を持っていなかった。最終的に米国は空からの支援を行ったが、それは遅きに失し役に立たなかった。

 昨年米議会は、CIAの秘密訓練計画とは別個に、50億ドルを付け「訓練・武装計画」を始めた。毎年5000名余を訓練する。この計画による最初のシリア反政府勢力がこの部隊だった。

 この計画は評価された。米国の訓練を受けた部隊は、過激派を排除するとともに、北部シリアに安全地帯を設け人道支援をすることになっている。他方、シリア介入に慎重な米大統領府からはもともと強い支持はなかった。

 7月12日、この部隊(54名)がシリアに入った直後、キリスでアルカイダ系のジャバト・アル・ヌスラの過激派(以下ヌスラ戦線)に攻撃された。司令官はヌスラ戦線が攻撃してくるとは考えなかったのである。

 ヌスラ戦線は同部隊を米国の手先だと考えている。7月29日には、部隊の7名が拉致され、31日にはアザズの同部隊本部が攻撃された。その後、更に少なくとも5名が拉致された。31日、米国は空爆で支援したが効果は殆どなかった。ヌスラ戦線は、ネット上で、新品のM16を奪ったと豪語している。

 この事例は、トルコとの共同対処の難しさを示している。部隊は主にアレポの北部地域のトルクメン系シリア人から構成されている。クルド人やラッカ近辺のスンニーも参加させるとの米国の考えは、トルコにより拒否された。

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