韓国の「読み方」

2015年9月17日

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澤田克己 (さわだ・かつみ)

毎日新聞記者、前ソウル支局長

1967年埼玉県生まれ。慶応義塾大法学部卒、91年毎日新聞入社。99~04年ソウル、05~09年ジュネーブに勤務し、11〜15年ソウル支局。15年5月から論説委員。著書に『「脱日」する韓国』(06年、ユビキタスタジオ)、『LIVE講義 北朝鮮入門』(10年、東洋経済新報社、共著)、訳書に『天国の国境を越える』(13年、東洋経済新報社)。毎日新聞サイト内に主な記事などを集めた個人ページ「アンニョン!@ソウル」がある。近著に『韓国「反日」の真相』(15年、文藝春秋)。

 中国人民解放軍の精鋭部隊が敬礼を送る天安門城楼の上に中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領、韓国の朴槿恵大統領が並ぶ姿は、やはり違和感を禁じえないものだった。9月3日の「抗日戦勝70周年」を記念する式典での軍事パレードである。軍事パレード前の記念撮影でも、習主席夫妻を中央にプーチン大統領と朴大統領が並び、その後、城楼へ歩いて向かう時にもプーチン、朴両大統領が習主席をはさんで歩く姿が、世界に配信された。

天安門城楼に並ぶ韓露中の首脳(Getty Images)

 東シナ海や南シナ海で一方的な行動を繰り返す中国が軍事力を誇示する場とあって、安倍晋三首相やオバマ米大統領をはじめとする欧米諸国の首脳は軒並み欠席。ウクライナ危機を巡って欧米から経済制裁を受けるロシアのプーチン大統領と同席することが避けられたという面も指摘された。結局、米国と同盟関係にある国の首脳で出席したのは、チェコのゼマン大統領と朴大統領だけだった。

注目されたのは「中国の厚遇ぶり」

 韓国でこの時、もっとも注目されたのは北朝鮮の崔竜海党書記と朴大統領の位置関係だった。中国の発表では崔書記も「首脳級」とされたが、天安門城楼で与えられたのは首脳級の末席だった。

 韓国メディアは、1954年に同じ場所で北朝鮮の金日成首相(当時)と毛沢東主席が軍事パレードを観覧した時の写真を並べて「時代の変化」に焦点を当てた。聯合ニュースは「主役の変化は、半世紀を超える間に韓中関係と中朝関係がどれだけ変化したかを象徴している」と伝えた。

 1992年の国交樹立以来で最良ともいわれる中韓関係と、金正恩体制下で冷えきった中朝関係を反映した席次というわけだ。習主席が、出席した首脳の中で朴大統領だけを単独の昼食会に招き、朴大統領には特別な待機室を用意したなどという異例の厚遇ぶりも大きく報道された。

 8月下旬に中国外務省が参加首脳を発表した際には、「プーチン大統領より朴大統領の名前を先に読み上げた」という報道もあった。中国がそれだけ朴大統領を重視したというのだが、北京の同僚に確認したところ、実際には、国名のアルファベット順で読み上げただけだった。韓国でなぜこんな報道が出たのかは不明である。

 ただ、朴大統領の左右に並んだ各国首脳のイメージは悪すぎた。朴大統領の向かって右側に習主席とプーチン大統領、左側にカザフスタンのナザルバエフ大統領、ウズベキスタンのカリモフ大統領だった。ナザルバエフ、カリモフ両氏はソ連崩壊前から25年以上も君臨する独裁者だ。国際刑事裁判所(ICC)から虐殺などの疑いで逮捕状が出ているスーダンのバシル大統領も出席者リストに名を連ねた。

 韓国メディアはこの点にあまり触れなかったが、進歩系のハンギョレ新聞は電子版で、米国のシンクタンク研究員が「一部では『青チームのはずの人が赤チームにいる』とまで言っている」と話したと報じた。青チームは「自分たちのチーム」、赤チームは「相手チーム」の意味だという。

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