WEDGE REPORT

2009年2月20日

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加藤秀樹 (かとう・ひでき)

構想日本代表

旧大蔵省入省。1997年に退職し、政策シンクタンク構想日本を設立。2006年4月より東京財団会長を兼務。内閣府行政刷新会議議員兼事務局長。著書に「ひとりひとりが築く新しい社会システム」(ウェッジ)「入門 行政の『事業仕分け』」(ぎょうせい)など多数。

 世界中で潮が引くように資金が不足している。こんな時こそ、政府も景気対策、失業対策など資金が必要だ。これをどう捻出するか。この状況が当分続きそうなだけに、真剣に議論しなければならない。

 昨年は「埋蔵金」という言葉が出回った。しかし、これは特別会計の準備金や積立金などを意味しており、企業と同様、事業を安定して行うために一定の金額をプールしているものだ。本来毎年の支出に回すべきものではない。歳出のための財源捻出ならば、まず毎年の予算の中からこそ無駄を徹底して洗い出すべきだ。現に、そのような取り崩せる埋蔵金は相当ある。

 構想日本が行っている行政の「事業仕分け」がその掘り起こしの新兵器だ。これまで34の自治体と4省で計42回行い、大きな実績を上げてきた。歳出削減効果に限ってみても、国、自治体ともに少なくとも十数%は直ちに削れるという結果が出ている。国については、まだ一部の事業しか行っていないが、4省の91事業、予算額で約2.7兆円のうち、3500億円(14%)が削減対象となった。仮にこの比率を当てはめると、今年度予算83兆円のうち12兆円が埋蔵金として他の緊急な予算に回せることになる。

歳出削減の切り札 「事業仕分け」とは

 歳出削減の切り札でもある事業仕分けだが、当初の目的は行政改革だった。行革が遅々として進まないのは、官僚と政治家の強い反対もさることながら、議論が主に官庁からのヒヤリングに基づいて行われるためだ。もともと官僚が立案した事業の趣旨、目的などの説明を聞いている限り、反論をするのは困難だからだ。これに切り込んでいくには個々の事業ごとに、現場の声や実情に基づいて担当者に事業の意義や効果を質していくしかない。それを具体化したのが事業仕分けなのだ。

 私たちが行う「事業仕分け」とは、国や自治体の事業を、1予算項目ごとに、2そもそも必要かどうか、必要ならばどこがやるか(官か民か、国か地方か)について、3外部の視点で、4公開の場で、5担当職員と議論して「不要」「民間」「国」「都道府県」「市町村」などに仕分けていく作業だ。

 7年前に始めた頃は、すべての予算項目(自治体ならば3000~8000項目)について短時間の議論で大づかみに仕分ける「全事業仕分け」(8県3市で実施)を行っていた。どの自治体も1割強が不要、今のまま続ける仕事の比率は、都道府県は約6割、市は約7割との結果が出ている。この方法で浮き彫りになったのは、国のがんじがらめの縛りがあるため、自治体が独自の判断でやめたり、コスト削減ができず、その結果大幅な事業とコストの増加があるという構図だ。地方分権改革推進委員会の「義務づけ・枠づけ」4000項目の撤廃はこの観点から是非実現して欲しい。

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