VWを救った中国の税制改革


高田勝巳 (たかだ・かつみ)  株式会社アクアビジネスコンサルティング代表

株式会社アクアビジネスコンサルティング 代表取締役。拓殖大学で中国語を専攻し、1984年より1986年まで中国の遼寧大学、北京大学での留学を経て、1987年に当時の三菱銀行に入行。1993年より同行上海支店開設のために上海に赴任。1998年に同行を退職後、上海で独立し、それ以来上海を拠点としたコンサルタントとして活躍。2002年より現職。この間、多くの日中間のビジネスにコンサルタントとして関与、最近は日系企業の顧客以外にも中国企業の対日投資並びに技術導入も支援している。中国の第一財経テレビ、香港のフェニックステレビの時事討論番組のコメンテーターとしても活躍している。

チャイナ・ウォッチャーの視点

めまぐるしい変貌を遂げる中国。日々さまざまなニュースが飛び込んできますが、そのニュースをどう捉え、どう見ておくべきかを、新進気鋭のジャーナリストや研究者がリアルタイムで提示します。政治・経済・軍事・社会問題・文化などあらゆる視点から、リレー形式で展開する中国時評です。(画像:Thinkstock)

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先日上海のゴルフ場で日系企業とドイツ企業の駐在員たちとゴルフをしながら、最近の中国におけるビジネス状況について情報交換した。大変参考になる話を聞くことができたので、皆さんとも共有いたしたい。

ドイツ自動車部品メーカーの駐在員
VWを救った中国の税制改革

 まずは、自動車部品メーカー駐在員の話だ。

 1. VW中国は、ディーゼルエンジンの不正問題が表面化する前の、年初より販売不振であったが、10月1日より施行された1600CC未満の自動車の取得税を半減した措置(http://www.jiji.com/jc/zc?k=201509/2015092900968)によって販売が回復し、工場周辺にたまり続けていた在庫車が一気にはけてきた。それまでは前年比30%ダウンを覚悟していたが、このままだと前年並みに売り上げを確保できそうな見込み。

 2. この販売の回復は、日系メーカーにもメリットをもたらしているのだと思うが、1600CC未満の売れ筋をもっているのはVWであり、この税制改正は、中国がVWを救うために出した面もあるとの見方が業界で言われている。

 3. 日系自動車メーカーの友人にも上の話を聞いてみたが、概ね同じ認識であった。日系メーカーでも該当する売れ筋のモデルは好調であるが、該当するラインナップがVWほどでないと。

 中国はなかなかうまいことをやったと思う次第である。正に一石二鳥。減速が言われる自国の景気を刺激しながら、ドイツにも貸しを作ったわけである。反対にドイツも中国とうまくやっているのではないか。日本の立場はドイツよりもより複雑で難易度は高いとは思うが、もう少し上手く立ち回り方法はないのか、日中関係の荒波に翻弄される日本のビジネスマンとして、今日も自問している。

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高田勝巳(たかだ・かつみ)

株式会社アクアビジネスコンサルティング代表

株式会社アクアビジネスコンサルティング 代表取締役。拓殖大学で中国語を専攻し、1984年より1986年まで中国の遼寧大学、北京大学での留学を経て、1987年に当時の三菱銀行に入行。1993年より同行上海支店開設のために上海に赴任。1998年に同行を退職後、上海で独立し、それ以来上海を拠点としたコンサルタントとして活躍。2002年より現職。この間、多くの日中間のビジネスにコンサルタントとして関与、最近は日系企業の顧客以外にも中国企業の対日投資並びに技術導入も支援している。中国の第一財経テレビ、香港のフェニックステレビの時事討論番組のコメンテーターとしても活躍している。

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