独“ベストブランド”1位ミーレとは?
ロックバンドに神父まで御用達


多賀一晃 (たが・かずあき)  家電評論家

スマート家電グランプリ審査員。主催する『生活家電.com』を通じ、家電の新製品情報、使いこなし情報他を発信中。過去、某メーカーでAVメディアの商品企画を担当、オーディオ、光ディスクにも精通。また米・食味鑑定士の資格を有する。水、米、パン、珈琲、お茶の味に厳しい。

家電口論

元大手家電メーカーでエンジニアをしていた筆者による、家電製品、家電業界の辛口批評。(画像:istock)

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ここに2015年のドイツ「ベストブランド・アワード」のニュースリリースがあります。ドイツ国内で、今支持されているとされるブランドの選抜ですが、海外メーカーも対象ですので、今やヨーロッパでも有数の権威ある賞とされています。

クリスマスマーケットが開催されている冬のドイツ、フランクフルトの街並み(iStock)

シーメンスやBMW抑え1位に輝いた“ミーレ”

 ベストコーポレートブランドの名前を拾ってみますと、10位から4位は、ヘンケル(洗剤、接着剤などの化学メーカー)、シーメンス(家電)、ポルシェ、フォルクスワーゲン、BMW、アディダス、ボッシュ(カー用品、家電)。とクルマと家電が競っています。フォルクスワーゲンは、アワードの後、例の虚偽が公になりましたので、来年は番外どころか、顧みられない可能性が大きいと思います。

 3位は、ダイムラー。ダイムラーはベンツを一緒に事業をしていたこともある老舗のクルマメーカーです。

 2位は、アウディ。ご存知の通り、今最も旬なカーメーカー。高級車としてメルセデスを抑え、ドイツの高級車として君臨しました。

 1位はミーレ。ドイツの家電メーカーです。実はミーレは株式公開していません。独立系ファミリーカンパニーです。上場企業でもないドイツの一企業が、莫大な資本、人材を持つドイツのカーメーカーを退け、ベストブランドなわけです。ちょっと不思議な感じですよね。

 今回から3回に渡り、そのミーレ社を色々な視点から解説したいと思います。興味深いだけでなく、そこにはきっとメーカーのあるべき姿の一つが垣間見えると思います。

“ミーレ”ってどんな会社?

IFA2015で展示された洗濯機で作ったブランデンブルク門(筆者撮影)

 設立は、1899年(明治32年)。世界史を紐解くと第二次ボーア戦争とありますので、植民地時代もかなり末ですね。日本はというと日清戦争に勝ったのですが、三国干渉(1895年)などもあり、新興国として苦労を重ねていた時代。同じ年に設立された日本メーカーとしては日本電気、森永西洋菓子製造所(のちの森永製菓)があります。

 創業者は、カール・ミーレ(Carl Miele)とラインハルト・ジンカン(Reinhard Zinkann)。ミーレの会社名は創始者から取られています。「常により良いものを(Immer besser)」というミーレの指針を決めたのも創業者です。マークは跳ね馬のエンブレム。いかにもヨーロッパ的です。

 本社は、ドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州ギュータスロー(Googleマップではギュータースロー)。ベルリンから西へ、約400km。ハノーファーとケルンの中間地点あたりに位置します。東京を起点にすると、滋賀県の米原あたり。かなり離れています。

 グループ従業員数、17,741人。内、ドイツ国内10,346人(58%)、その他海外というグローバル企業。

 売り上げは、34.9億ユーロ(約4700億円)。比率は、ドイツ:30%、海外:70%。人数比と売り上げ比が異なるのは、開発、製造の拠点をドイツに持つからです。 

 そして未だに、売り上げが伸びている家電メーカーです。2012年:3.6%、2013年:2.2%、2014年:8.3%。真にもってうらやましい限りの健全経営と言ってもイイですね。

 しかも、商品の大半はコンシューマー用。ミーレプロフェッショナルという業務用の部門がありますが、この部門は4.49億ユーロですから、今の日本メーカーがB to Bと言っているのとは少々異なります。

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「家電口論」

著者

多賀一晃(たが・かずあき)

家電評論家

スマート家電グランプリ審査員。主催する『生活家電.com』を通じ、家電の新製品情報、使いこなし情報他を発信中。過去、某メーカーでAVメディアの商品企画を担当、オーディオ、光ディスクにも精通。また米・食味鑑定士の資格を有する。水、米、パン、珈琲、お茶の味に厳しい。

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