WEDGE REPORT

2016年1月25日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 共和党のトランプ旋風ばかりが注目されていた米大統領選挙だが、ここへ来て民主党にも大きな動きが出てきた。バーニー・サンダース候補(74)の躍進だ。全体ではまだヒラリー・クリントン候補(68)がリードしているものの、その差は急激に縮まりつつある。世論調査を行う機関によってばらつきはあるものの、IBD/TIPPの調査ではクリントン43対サンダース39、と4ポイント差にまで迫っている。

 特に、最初の投票が行われるアイオワ州ではその差は2ポイントにまで縮まった。さらに、アイオワの8日後に投票予定のニューハンプシャー州ではなんとサンダース候補が60対33でクリントン候補をリードしている。

社会主義的な理想

アメリカ社会党から大統領に立候補したユージン・デブス(1855〜1926)の写真の前に座るサンダース氏(Getty Images)

 サンダース候補の人気の秘密はどこにあるのだろう。今回、民主党はほぼクリントン対サンダースの一騎打ちとなったが、この2人の戦いは「情熱家と実務家の戦い」と評される。ファーストレディ、国務長官を経験し実際的な考え方をするクリントン候補に対し、社会主義的な理想を掲げるサンダース候補。候補者討論会ではクリントン候補に口を挟む隙を与えず自らの理想国家を語る姿に、「ありきたりの政治家ではない」という共感が芽生え、討論会のたびにサンダース支持が増えている。

 さらに、サンダース候補は共和党を交えた全候補の中で「最もプアな候補者」でもある。総資産は33万ドル。一方のクリントン候補の資産は1530万ドルで、全候補のうちドナルド・トランプ氏、カーリー・フィオリーナ氏に次ぐ3位だ。この事実が中低所得者が増え高所得者が減少している現在の米国で、一般の人々の共感を呼ぶ要素にもなっている。

 サンダース候補もこれを論点に挙げており、労働家庭に対して国は「不公平」、経済は「落ち込み」、米国人の所得や財産の偏りは「グロテスク」、平均給与は「低すぎ」、富裕層への優遇税制は「アメリカンデモクラシーの精神にもとる」、と舌鋒鋭い。

 「私は億万長者の代弁者ではない。米大企業の回し者でもない」が口癖で、選挙キャンペーンの資金250万ドルは平均すると一口27ドルの一般からの寄付金により集まったものだ。

 名指しでクリントン候補を批判してはいないが、「私はイラク戦争に賛成しなかった」「スーパーPAC(Political Action Committee=政治献金の受け皿になる団体)に頼らなかった」「ゴールドマンサックスで講演して6桁のギャラをもらっていない」など、チクリチクリとクリントン候補への当てこすりを口にする。

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