オトナの教養 週末の一冊

2016年1月27日

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中村宏之 (なかむら・ひろゆき)

読売新聞東京本社調査研究本部 主任研究員

1967年生まれ。91年、慶應義塾大学経済学部卒、読売新聞東京本社入社。福島支局、立川支局、経済部、政治部、ロンドン特派員、米ハーバード大学国際問題研究所研究員、経済部デスクを経て2014年より現職。著書に『世界を切り拓くビジネス・ローヤー』『御社の寿命』、(いずれも中央公論新社)など

 もうすぐ中国の旧正月・春節の時期をむかえる。2015年の訪日外国人客は中国人客の増加によって1973万人となり、年間2000万人としていた政府の目標をほぼ達成した。その中で圧倒的な存在感を誇っているのが499万3800人に上った中国人訪日客である、15年は「爆買い」が、流行語大賞にもなり、世の中にも広く浸透したが、相変わらず中国人の爆買いぶりは少なくとも東京周辺では健在だ。これが日本経済を下支えしてくれていると思うとありがたい気もするが、長く中国を取材している著者の中島恵さんが爆買いを掘り下げた新著を出版した。

 爆買い現象についてはこれまでもメディアでは繰り返し報道されているが、継続的に取材したものをみたことがないので、本書は非常に新鮮である。爆買いの実際はどうなっているのか、その後に彼らはどうしているのかまでを視野に入れて取材・紹介した本である。

 中身は非常におもしろい。爆買いする中国人がそもそもどこからくるのか、自分ではあまり深く考えたことがなく、単純に富裕層の多い上海あたりからか、と想像していたが、本書では武漢や南京、成都など内陸の人が多いと指摘する。

 そして彼らの「爆買い狂想曲」も、多くの日本人はやや冷ややかに見ているが、20-30年前の日本の団体客が海外でやっていたことを思い出せば、あまりえらそうな態度はとれないはずだ。

 では爆買いはどんな人が中心になっているのか。実態は30代の男女が中心で、20代、40代という集団である。おおむね4-6日ほど日本に滞在し、予算の55%を買い物にあてるそうだ。

 実にいろいろなところに中国人は現れる。銀座、福岡、高山(岐阜)、旭川などだ。各地での中国人の様々な行動が紹介されている。

 では、何を買っているのか。家電製品、ランドセル、熱さまシート、龍角散、サロンパスなどの日用品だ。そして女性用のフェイスマスクも大人気だという。売る側のドラッグストアも「買うべき物リスト」なるものをそろえて、めざとく客にアピールしているというのだからすごい。

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