世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年10月11日

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 米Foreign Affairs誌2013年9-10月号で、イラン人ジャーナリストのAkbar Ganjiは、イランの最高指導者ハメネイの言動に軟化の兆候がみられるので、米国は、イランの体制を転覆する意図のないことを明らかにし、イランとの関係改善を図るべきである、と述べています。

 すなわち、ハメネイは、常に自由民主主義について批判的であり、西側の資本主義はいずれ没落すると考えているが、彼は、反西欧、反米というわけではない。彼は、米国や西側がイスラム世界の諸悪の根源とは思っていないし、科学の進歩は西側世界の真実だと言っている。

 現在のイランの高級聖職者やイスラム法学者の中でハメネイほど、コスモポリタンの教養を持っている人はいない。彼は、イスラム教の法律だけでなく、音楽、詩、小説に深い教養がある。

 若い頃彼は、Jamalzadah、Chubak、Hedayatなどの小説を読んだが、それは、仏、露、英などの大小説家の前では、問題にならないと考えた。彼が称賛しているのは、トルストイ、ショロホフ、バルザック、ゼヴァコなどであり、ヴィクトル・ユーゴーを最高だと言っている。2004年のテレビで、レ・ミゼラブルは史上最高の小説で、社会学、歴史、批評の書であり、愛と感情の崇高な本である、と言っている。

 そして、「怒りの葡萄」では、民主主義国の中で左翼が如何に扱われているかが解り、Uncle Tom's Cabinはアメリカにおける有色人種迫害を示した書として、推薦している。

 このようにハメネイは、革命前の時代において、当時の一般の文化人と交友があったが、その上に、最先端の宗教学徒、seminarianであった。そして、ムスリム・ブラザーフッドの主唱者であり、宗教国家を主張し、ナセルに処刑されたQutbに傾倒していた。Qutbの考え方は、オサマ・ビンラディンやザワヒリによって信奉されているが、ハメネイはこれに深く影響を受け、Qutbの著作を自らペルシャ語に翻訳している。

 ハメネイは、ベルリンの壁崩壊の年、1989年に最高指導者となったが、その時以来、ハメネイは政治的経済的圧力による西側の文化侵略について研究し、触れている。ただ、ハメネイによれば、そのような文化侵略は、共産主義のような新しい思想には有効でも、歴史あるイスラム社会には効果は無いと言っている。

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