世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年6月5日

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 ファイナンシャル・タイムズ5月15日付で、米外交問題評議会のRay Takeyhが、イランの最高指導者ハメネイは、核政策の推進と西側との経済関係の維持を両立させるのが難しくなってきている、こうした中で、西側はハメネイが根本的に核政策を変えない限り、制裁を緩めるべきではない、と言っています。

 すなわち、これまでイランの最高指導者ハメネイは、一方では、米国を敵視し、核政策を推進することで自らの支配を正当化し、他方では、西側への石油の輸出や必需品の輸入で経済を運営する、という両面作戦を取ってきたが、ここに来て、米国などによる強力な制裁の結果、双方を両立させることが難しくなってきた。

 つまり、ハメネイは、核か経済かの苦しい選択を迫られており、そのため、そうした選択を先延ばししようと、今回のP5+1との交渉では、多少の譲歩をして、制裁を緩和してもらおうとするかもしれない。

 しかし、米欧は、イランが核政策を根本的に変えない限り、制裁を緩めるべきではない。つまり、7月までにイランがどのような提案をしようと、7月に予定されているイラン石油のボイコットを実施すべきだ。勿論、ハメネイは、経済が恒久的に悪化しても核政策を推進しようとする可能性はあるが、西側はあくまでハメネイに核か経済かの選択を迫るべきだ、と言っています。

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 タキーは、ハメネイの核政策はイランの核武装であるとの前提に立ってこの論説を書いていますが、その前提に問題があります。ハメネイ自身、イランは核兵器を絶対に持たないと公言していますし、過去にイランが核武装関連の活動をした疑いはあるものの、現在はイランの核政策の目的は核武装ではなく、濃縮技術の確立であると考えられます。勿論、ウラン濃縮は核武装につながりうる技術なので、問題ではありますが、今回のイランとP5+1との交渉の主目的は、濃縮技術と核武装との間にできるだけ距離を置くことになると思われます。

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