オトナの教養 週末の一冊

2015年4月17日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

 ビジネス誌をめくれば英語習得法の特集が組まれ、電車に乗れば英会話スクールの広告が必ずと言っていいほど目に入って来る。また、楽天を始めとする企業では、社内英語公用語化が進み、子供たちへの早期教育の効果が喧伝されている。まるで、これからの時代、英語が出来なければ食い扶持に困るとでも言うように。

 果たして、そんなに多数の日本人に英語は絶対に必要なのか。こうした通説や俗説に対し、社会統計データを分析し、実態をつまびらかにしたのが『「日本人と英語」の社会学』(研究社)。そこで著者で、日本学術振興会特別研究員(PD)・オックスフォード大学ニッサン日本問題研究所客員研究員の寺沢拓敬氏に話を聞いた。

――一歩街に出ると英会話スクールの広告が溢れていますし、ビジネス誌などでも英語学習方法の特集が組まれたりと、一見すると日本では英語学習熱が高いように感じます。しかし、実際のデータを見てみると、本書で指摘されているように英語学習に積極的な人たちはそんなに多くないと。

寺沢:そうなんです。JGSS(日本版General Social Surveys)という調査によると、英語を「積極的に学習するつもり」と答えたのは全体の3.1パーセントで、「機会があれば学習したい」「しかたなく学習する」という人を含めても4割に届きません。また、英語を学ぶつもりがないと答えた人は63.7パーセントにも上ります。

 さらに内閣府が行った「生涯学習に関する世論調査」では、過去1年間の生涯学習の経験を尋ねていますが、「語学(英会話など)」を選んだのは全体の3.3パーセントでした。

――そんなに少ないんですね。とは言え、グローバル化した世界では英語を話さなければビジネスで成功しないというような風潮があるようにも思います。

寺沢:ひとつの背景には、英語を日常的に必要な人の割合が少ないからと言って、必ずしも絶対数が少ないことを意味しない、ということがあります。年に数回の使用という限定的な英語使用も含め、就労者の2割、日本人全体の1割しか英語を使用していません。より日常的に英語を必要としている人は1パーセント程度です。ただ、その1パーセントが120万人であるという人口規模は、外交や対外貿易などの政策を考える上では重要な数で、その強化を政府は狙っているのでしょう。

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