WEDGE REPORT

2014年10月29日

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 国際競争という視点から見てみると、日本の大学は理系からノーベル賞受賞者を輩出するなど、高い研究レベルを維持している。理系の場合、学部の頃から世界を視野に研さんを積んでいるが、「文系の授業をみるとタコつぼ型の授業が多く、競争原理が働いていない」とこぼす私立大関係者もいる。

 物理学が専門の東島清・大阪大学副学長は「理系は高いレベルで競争してきているが、人文社会系学部は国際競争にさらされていない分野も多い」と話し、大学全体をグローバル化するためには文系学部を改革することが不可欠だという認識だ。その手始めに文系を中心に教員に対してこれからの新しい授業はどうあるべきかについて、昨年秋から「教員に対して学習成果を重視した主体的な学びを促す教え方の講習を始めており、今年から本格的に行う」という。

 学生との双方向の授業については経験がないため慣れない教員が多く、授業の進め方を教えるという。大学が変わるためには授業が変わり、そのためには教える側も変わらなければならない。

(写真:iStock)

 グローバルリーダーは世界を相手に政策やビジネスを遂行するトップクラスだけでなく、地方で働いていても求められる存在になっている。地方から世界に向けて農産物や特産品を輸出する機会もあり、県庁などの地方自治体では世界を相手にするビジネス案件は増えている。

 地方大学が始めている事例として、北海道大学は全学部の中から一定の英語能力があり志の高い200人を対象に、札幌農学校(のちの北大)の2期生で国際連盟事務次長を務めた新渡戸稲造の名前にちなんだ特別プログラム「新渡戸カレッジ」を2013年度に開設、グローバル人材の養成を始めている。岡山大学では「1学年の時から各学部から何人かを選抜して、学部の科目に加えて英語教育を含めてグローバル科目を勉強させる特別コース(約50人)を昨年4月からスタートさせ、今後拡充する計画だ。留学して4年間で卒業できる」(荒木勝・副学長)という。

 山口県立大学は、地域で抱える課題に取り組める「インターローカル人材」の育成を目指して、国際文化学部の学生に対して人材教育プロセスを可視化するポイント制度を13年度から導入した。学生は点数が貯まる授業を受けると留学選考で加算され、奨学金が受けられやすくなる。江戸時代の出島以来、オランダや中国との交流の歴史がある長崎大学は、新年度の4月から「多文化社会学部」(定員100人)を創設した。在学中に全員の留学を予定し、片峰茂・長崎大学長は「実践的英語力を備えた、現場に強い、個性際立つ、長崎の特色ある風土や歴史に根差したグローバル人材を育成する」と意欲を示す。

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◆Wedge2014年6月号

 

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